2013年11月15日金曜日

第45 号 (2013.11.15 .) あとがき

北川美美

全国的に11月としては寒い日が続いています。すでに真冬日となったところも。

今号は冬興帖第三、戦後アンケート(恐らく最終回)。そして攝津幸彦記念賞準賞を受賞された小津夜景さんの新作作品集がはじまります。すでに数編の作品が入稿されています。どうぞ小津夜景の世界をご覧ください。

詩の賞の話ですが、「第21回萩原朔太郎賞」(前橋市など主催)は詩人で美術評論家の建畠晢(たてはたあきら)さん(66)の詩集『死語のレッスン』(思潮社)が受賞となり、氏の記念講演、贈呈式の模様をテレビで拝見しました。表題や作品中の「死語」について、「“ナウい”のような死語ではない。時代の中から突然消えてしまった、言葉。」と説明され、「死語」と「詩語」のアナロジーを解析。興味深い話でした。

小津さんの作品にもその試みはみられ、俳句と詩を越境するレッスンのように思えてきました。

多くの方の眼に触れ、さまざまな感想を持たれることを期待しています。





  筑紫磐井

○11月8日、恩田侑布子著『余白の祭』(深夜叢書社刊)のドゥマゴ文学賞の授賞式に行ってきた。俳句関係者が授賞したのも初めてであろうが、この賞に俳句関係者がこれほど集まったのも初めてであろう。現代俳句協会系の人が多いのは当然として、その他にも、仙田洋子、中西夕紀、藺草慶子、対馬康子などおなじみの方も多いのは著者の親交の広さか。賞金は100万円、フランス本国のドゥマゴ賞授賞式の旅費、時計、ワインが贈られ豪勢な祝賀会であった。圧巻は恩田氏の自作を朗読するパフォーマンス。これを巴里でもご披露して欲しい。まことにおめでたいことである。

懇親会のあと大井恒行、星野高士、中西夕紀、瀧澤和治、行方克己氏らと喫茶店にゆく。戦後俳句の秘話をいろいろ語り合う、高柳重信以前の俳句研究の編集の話などはあまり聞くことの出来ない貴重なものであった。席上、星野氏から、来年の1000号の記念号をもって「玉藻」の主宰を承継することになったと語られ祝杯(コーヒーで)。先々週の「ホトトギス」といい「玉藻」といい、虚子にゆかりのある雑誌の世代交代が一斉に進んでいる(すでに「花鳥」は坊城俊樹氏が主宰となっている)。授賞式とは関係ないが、今夜また時代が作られたと言うべきか。

○攝津幸彦記念賞の受賞者たちがいろいろな活動に参加してくれそうなご返事を頂いている。多くの賞は受賞1年で記憶から薄れることが多いが、この賞の受賞者に関しては出来る限り応援をしていきたいと思っている。そういえば昭和20年代には俳句の賞はたった一つしかなく(現代俳句協会賞)、その受賞者は、佐藤鬼房、野沢節子、金子兜太、能村登四郎、鈴木六林男、飯田龍太と間違いなく時代を作り上げていった。賞とは授賞するだけでなく、新しい時代を作り上げる動機となるものであったのである。




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