2019年3月19日火曜日
【100号記念】特集『俳句帖五句選』
その1(飯田冬眞・浅沼璞・内村恭子)》読む
その2(神谷波・五島高資・小沢麻結)》読む
その3(坂間恒子・岸本尚毅・加藤知子)》読む
その4(木村オサム・近江文代・曾根毅)》読む
その5(田中葉月・北川美美)》読む
その6(小野裕三・ 西村麒麟・ 田中葉月・ 渕上信子)》読む
その7(五島高資・ 水岩瞳・ 仙田洋子・ 松下カロ)》読む
その8(青木百舌鳥・花尻万博・椿屋実梛・真矢ひろみ)》読む
その9(下坂速穂・岬光世・依光正樹・依光陽子)》読む
その10(前北かおる・林雅樹・望月士郎・山本敏倖)》読む
その11(辻村麻乃・渡邉美保・ふけとしこ)》読む
その12(佐藤りえ・筑紫磐井)》読む
2019年3月8日金曜日
【「BLOG俳句新空間」100号記念】特集『俳句帖5句選』その12
佐藤りえ
旧道に人増えてゐる二日かな
しはぶいてあたまの穴のひろがりぬ
アントニーからウイルス削除の小鳥来る
茄子持つて地震速報見てゐたる
寝穢くゐつづけ春を待ちやがる
筑紫磐井
北天に架かるあれが
かくも静かに二月の記憶 兜太星
櫂未知子・奥坂まやさんへ
抱き合つて死んでゐるなり水中花
玉藻一〇〇〇号記念祝賀会
諸兄諸姉祝辞は長し五月雨
鷹五〇周年記念祝賀
法王になりたし夏至の魔女の夜
俳句四季七夕会にて
七夕短冊 嘘がばれませんように
2019年2月22日金曜日
【「BLOG俳句新空間」100号記念】特集『俳句帖5句選』その11
辻村麻乃
走り梅雨何処かで妖狐に呼ばれたる
パードレのごとき男と夏の山
緊縛の観音転がる夏の果
十六夜の月を待ちたる調律師
冬霧の三ツ鳥居より蜃に会ふ
渡邉美保
野遊びの袋に鍵を探りをり
花冷えの手に渡さるる特急券
明易の蟇掛軸にもどりたる
望の月白鳥橋を渡りけり
燐寸より生まるる火影憂国忌
ふけとしこ
遠く見て睡蓮近づいて睡蓮 (5号)
初夢の肩肘張つて目覚めけり (6号)
囀りの散つてすみずみまで青空 (〃)
龍淵に潜むドローンの墜落す (9号)
夏の月くさかんむりを戦がせて (10号)
2019年2月8日金曜日
【「BLOG俳句新空間」100号記念】特集『俳句帖5句選』その10
望月士郎
風船もってみんな並んで面影へ
花過のひと日卵を割る仕事
髪洗う闇に潜水艦浮上
はんざきの半分貰ってくれという
銀漢や少女回転体となる
山本敏倖
昼寝は甘酢甘酢らしくする
十一月の手品師はさばんな
一片の春の雪にもある重さ
水中花事実の本籍見ています
紙飛行機の年末はうしろからピカソ
林雅樹
憧れの俳人宅や輪飾盗る
雪解の原に童貞処女乱舞
夢遊病者新樹に呼ばれ木戸を出づ
柵はみ出て揺るゝ一葉や紅葉せる
枯園の見えて鉄扉の半開き
前北かおる(夏潮)
雲の影取り払はれて夏野かな
草の青俄かに濃ゆし犬ふぐり
一堂に再び会し卒業す
朝蟬やよろしくぬるき露天風呂
遠足や空を仰ぐに芝に寝て
2019年1月25日金曜日
【「BLOG俳句新空間」100号記念】特集『俳句帖5句選』その9
下坂速穂(「クンツァイト」「秀」)
恋人にするには若き白地かな
日向ぼこ昨日と同じかほ撫でて
目明しの老いて灯下に親しめる
足跡に遠く鳥ゐる秋の潮
湯気立てて死も長生も楽しからむ
岬光世(「クンツァイト」「翡翠」)
寒稽古見えぬ巌の胸を突く
遠き世の遠きへ帰る朴の花
巾着を青酸漿に濡らしけり
秋湿りライナーノーツ読み返し
葱を買ふ二人の仲をいつはらず
依光正樹(「クンツァイト」主宰)
大寺や水輪と見れば春の雪
高きまで鈴を鳴らして春岬
探梅やきらりきらりと胸の内
鬼灯や子守女が吹くかの音も
近づいて木立に鳥や水遊び
依光陽子(「クンツァイト」)
獅子殿の獅子をくぐれば芒原
物と物触れ合はずある淑気かな
眼涼し羽ばたくものを捉へては
それぞれの手の生む文字や冬めきぬ
ひろびろとかなしき虫の原に佇つ
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2019年1月11日金曜日
【「BLOG俳句新空間」100号記念】特集『俳句帖5句選』その8
青木百舌鳥
木の葉降る音や枝に打ち枝に打ち
川底を冬日の綾の遡りをり
釣堀の準備中なるもぢりかな
虻に生れ蠅に生れて並び居る
すくひたる手鉢の金魚かたよれり
花尻万博
蟻渡る光の川の小さい傷
繋がれて昼顔といふ確かさよ
仮の世の落とし処の雑煮餅
牛の声鬼の声草摘みにけり
美しき物の喩(たと)へを蛇苺
椿屋実梛
白秋の寝息しづかに愛のあと
秋暁のなかに横顔眠りをり
秋暁の街にその背を見送りぬ
淋しさが嵩増してゆく落葉期
思ひ出す職の遍歴十二月
真矢ひろみ
意味に飽く少年少女夏の果
聖夜かな球体関節軋みをり
ガン病棟へ寒一灯の力かな
県道にミミズのたうつ電波の日
逃げきって間のおきどころ夕端居
2018年12月28日金曜日
【「BLOG俳句新空間」100号記念】特集『俳句帖5句選』その7
五島高資
蛇口から水のふくらむ二月かな
朝へ出る道のうねりや竹の秋
五次元の寄せるみぎはや時計草
富士山の艫綱を解く夕焼かな
寝過ごしてひとり降り立つ銀河かな
水岩瞳
戦争に使はれし日々花に問ふ
行方知れずの君は十五のままで朱夏
無言館
風死せり絵筆の声を今に聴く
少年にアメリカの匂ひ夜のプール
ただ灼けて有刺鉄線続きをり
仙田洋子
煬帝の運河の上をつばくらめ
春闌けて絶滅近き鳥けもの
地図濡れてニュルンベルクの緑雨かな
秋の蝶翅を閉ぢては傾きぬ
冬の川うすぼんやりと日を浮かべ
松下カロ
百人の男うつむく鳥帰る 2017・春興帖
ハンカチに包みそのまま忘れけり 2017・夏興帖
勾玉はゼリービーンズ十三夜 2017・秋興帖
廃駅が鯨の中で燃えてゐる 2017・冬興帖
沈黙は吹雪に似たるチェロソナタ 2017・歳旦帖
2018年12月7日金曜日
【「BLOG俳句新空間」100号記念】特集『俳句帖5句選』その6
西村麒麟
狐火をほのぼの見るや初句会
鳰泳ぐ鳰より別れ来し如く
よたよたとスケート場を歩き切る
地虫出て他の地虫を見てをりぬ
滝少し空中を行き落ちにけり
渕上信子
夕ひばり黒点となるまで
春をかなしむ家持のごと
薔薇薔薇苑をはみだして咲く
夏帽子鸚哥が「アホンダラ!」
断捨離すこしして後の雛
小野裕三
風の身体持ち試着室を覗く夏
骨董市に王様の首冬木立
旱星航海記濃く匂い立つ
ほぼ空の大きさである初詣
夏の浜雨の拙く降りにけり
田中葉月
春光をあつめ片足フラミンゴ
ぼうたんのの花片の中に身投げする
月光をあつめてとほす針の穴
この辺り鳥獣戯画のクリスマス
風花す銀紙ほどのやさしさに
2018年11月23日金曜日
【「BLOG俳句新空間」100号記念】特集『俳句帖5句選』その5
田中葉月
白蓮や大地は胎児さしだしぬ
虹生まるわが体内の自由席
月光をあつめてとほす針の穴
この辺り鳥獣戯画クリスマス
風花す銀紙ほどのやさしさに
北川美美
ため息や煙のやうに歌留多飛ぶ
Nirvarna(n+1)倍の雨
あいの風砂浜に杭打込めよ
枯野より手を振る人のよく見える
臨終のくちびる開くうつつかな
2018年11月9日金曜日
【「BLOG俳句新空間」100号記念】特集『俳句帖5句選』その4
木村オサム
口中に夜桜見えて家出せり
蝌蚪の紐散りぬ聖母の生あくび
罰として尺蠖虫がやって来る
寂しくて一番長い蛇を引く
焚火して戦に敗けた顔となる
近江文代
向日葵に夫の知らない声を出す
金魚得て水の膨らむ夜であり
真空の餅真空のままでいる
山眠る結束バンドに柔軟性
遺影とは三色菫咲くところ
曾根 毅
寒月光松に習えば松に消え
澄みきっている春水の傷口めく
何処まで釈迦の声する百日紅
鬼灯の内に骨やら髪の毛やら
目礼や霞む林檎を掌に受けて
2018年10月26日金曜日
【「BLOG俳句新空間」100号記念】特集『俳句帖5句選』その3
坂間恒子
皇帝ダリア
冬の星一直線に頭と尾骨
蕗の薹虚子の系譜のねむらない
深海の尾ひれのそよぐ夕桜
棺出るとき皇帝ダリアに風
紛争に終わりのなくてしろさざんか
岸本尚毅
憤死して落葉の宮に祀らるる
世紀末過ぎて久しき昼寝かな
南瓜抱く夕焼村の村長は
灯籠やお供へものを蜂が這ひ
歪めたる顔のやうなる茸かな
加藤知子
少し湿る花びらほどの霊安室
水中花睡眠障害症候群
炎天として震洋艇とすれ違う
秋暑し小股にはさむ大言海
ちちろ鳴くあなたにちかづくための闇
2018年10月12日金曜日
【「BLOG俳句新空間」100号記念】特集『俳句帖5句選』その2
神谷 波
松過ぎの鴉がやけに親しげに
稲妻や瞬きゆつくりアンドロイド
桜から桜へ鱏のやうにゆく
神の留守預かるスーパームーンかな
冬の虹ひつかかつてる森の端
五島高資
鉄パイプ落ちて響ける枯野かな
紙垂光る内はほらほら鳥総松
嵩上げや小石に長き春の影
金星の残るインフルエンザかな
雛の間や川は夕べへ流れけり
小沢麻結
日銀短観データを拾ひ初仕事
塔の如枯木あの辺りがリンク
南風微睡みてなほ日は高き
秋日和パレードは未だ見えねども
札幌に男足止め雪女郎
2018年9月28日金曜日
【「BLOG俳句新空間」100号記念】特集『俳句帖5句選』その1
BLOG「俳句新空間」では、10月下旬号を持って100号に到達する。多くの雑誌、BLOGのある中で取り立てて偉業と呼ぶほどではないが、節目を迎えたことは自覚したい。
特に前身の「俳句空間」は評論中心の編集をしていたが、「俳句新空間」からは自選俳句を掲載するようになった。
そこで、本号からしばらく、平成25年1月以来のBLOG俳句帖(歳旦帖、春興帖、花鳥篇、夏興帖、秋興帖、冬興帖)に掲載した作品5句を精選して掲載する。『俳句帖五句選』と呼ぶ。
現在参加者に依頼して順次作品を送っていただいており、今回はその第1回目となる。まとまったところで、総合選評も依頼したいと思う。
(ちなみに、年2回刊行の雑誌「俳句新空間」の第10号も近く刊行される予定である。こちらは平成26年に創刊された雑誌「俳句新空間」1~9号までに掲載された自作の新作20句等の中から精選10句を選び自選の『新作10句選』として掲載する予定。)
飯田冬眞
福寿草宦官の沓滑らかに (第2号)
凩や死者も生者も海より来 (第5号)
革命の前夜静かに蟹来たる (第20号)
虫の闇木馬に体ゆだねをり (第30号)
残菊や紫煙まみれの未定稿 (第30号)
浅沼璞
脇息に開く春雨物語
実朝の石の烏帽子の風光る
俺は津までお前も津まで花筏
霧雨の霧を嗅ぎ分け来よ鬼よ
障子貼る手長足長ろくろ首
内村恭子
野を濡らし木椅子を濡らし夏の雨
応接間いつもひんやり風光る
世紀末の重さの鍵や風死して
玉葱剥く銀河の外に銀河あり
秋灯し壁をはみ出す天使像
特に前身の「俳句空間」は評論中心の編集をしていたが、「俳句新空間」からは自選俳句を掲載するようになった。
そこで、本号からしばらく、平成25年1月以来のBLOG俳句帖(歳旦帖、春興帖、花鳥篇、夏興帖、秋興帖、冬興帖)に掲載した作品5句を精選して掲載する。『俳句帖五句選』と呼ぶ。
現在参加者に依頼して順次作品を送っていただいており、今回はその第1回目となる。まとまったところで、総合選評も依頼したいと思う。
(ちなみに、年2回刊行の雑誌「俳句新空間」の第10号も近く刊行される予定である。こちらは平成26年に創刊された雑誌「俳句新空間」1~9号までに掲載された自作の新作20句等の中から精選10句を選び自選の『新作10句選』として掲載する予定。)
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飯田冬眞
福寿草宦官の沓滑らかに (第2号)
凩や死者も生者も海より来 (第5号)
革命の前夜静かに蟹来たる (第20号)
虫の闇木馬に体ゆだねをり (第30号)
残菊や紫煙まみれの未定稿 (第30号)
浅沼璞
脇息に開く春雨物語
実朝の石の烏帽子の風光る
俺は津までお前も津まで花筏
霧雨の霧を嗅ぎ分け来よ鬼よ
障子貼る手長足長ろくろ首
内村恭子
野を濡らし木椅子を濡らし夏の雨
応接間いつもひんやり風光る
世紀末の重さの鍵や風死して
玉葱剥く銀河の外に銀河あり
秋灯し壁をはみ出す天使像
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