2018年11月9日金曜日

【「BLOG俳句新空間」100号記念】特集『俳句帖5句選』その4


木村オサム
口中に夜桜見えて家出せり
蝌蚪の紐散りぬ聖母の生あくび
罰として尺蠖虫がやって来る
寂しくて一番長い蛇を引く
焚火して戦に敗けた顔となる


近江文代
向日葵に夫の知らない声を出す
金魚得て水の膨らむ夜であり
真空の餅真空のままでいる
山眠る結束バンドに柔軟性
遺影とは三色菫咲くところ


曾根 毅
寒月光松に習えば松に消え
澄みきっている春水の傷口めく
何処まで釈迦の声する百日紅
鬼灯の内に骨やら髪の毛やら
目礼や霞む林檎を掌に受けて

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