2013年11月8日金曜日

 【俳句作品】 雨脚  / ふけとしこ

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   雨脚   ふけとしこ

爪紅の種を飛ばして他郷なる

自慢にもならず草虱の数多

蒲の穂の崩れを叩く雨となる

落ちさうに見えて落ちてはこぬ胡桃

秋去るや母が為止しの皮細工

種を採る母在りし日のやうに採る

雨脚の見えてもきたるみそさざい

冬天やまばたきもせぬ眼鏡猿

山茶花の一片零す楽屋入り

懐炉欲しざつとほぐしておく卵



【作者略歴】

  • ふけとしこ

本名福家登志子。岡山県生れ。「カリヨン」を経て現在「船団」「椋」所属。句集『鎌の刃』『真鍮』『伝言』『インコに肩を』他に『ふけとしこ句集』『草あそび』等。1995年俳壇賞。
2000年4月より3年間個人誌「ほたる通信」を発行。2012年8月より「ほたる通信」凝縮版として「ほたる通信Ⅱ」を開始。 

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