今号は、冬興帖第二、ふけとしこさんより新作10句、戦後アンケート、攝津幸彦賞筑紫磐井氏による選評が揃いました。
11月3日の第二回攝津幸彦記念賞受賞式には所用にて取材がかないませんでしたが、祝賀会の最後の一本締めにかろうじて参加。ご出席の皆様には大変失礼をいたしました。
『新選21』(2009年/邑書林)に収録俳人・北大路翼さんの姿を見かけました。(北大路さんは「街」の創刊同人)
51 油揚げ鍋の天国地獄かな
45 幸せを手放すやうに熊手置く
42 ゾンビは街灯俳人は枯れ枝に
以上、ツイッタ―北大路翼句より選句させていただきました。
*当ブログ「-blog俳句空間‐戦後俳句を読む」の更新情報をツイッタ―にて告知しております。
https://twitter.com/sengohaiku
筑紫磐井
○11月3日、白金台で「豈」の忘年句会と第2回攝津幸彦記念賞の授賞式があった。今回はわざわざ和歌山から受賞者花尻万博氏に来ていただき副賞の授与と審査員の祝辞、そして花尻氏の受賞のことばを頂いた。さすがに来られなかったフランス在住の小津夜景氏からもメッセージがことづけられた。私の感想は、今回の「現代俳句を読む」の<第2回攝津幸彦記念賞――3つから>に書かせていただいたので省略。いずれにしても今回の受賞作品には、他の賞では見られない個性的な作品が競い合い、閉塞した時代にほっとするような安ど感を与えてくれるものであった。受賞者、また参加者のますますのご発展を祈りたい。
○この原稿を書いているさなか、「俳壇抄」が届いた。まだ詳しくは読んでいないが、次号で終刊するという記事が書いてあった。「俳壇抄」は医療用医薬品を扱うマルホ株式会社(代表者高木青二郎社長。俳句雑誌「青門」主宰)が平成6年8月に発行を開始した俳句結社に関する情報雑誌で、年2回、結社から提供された原稿(結社の概況、俳句作品とエッセイ等)を掲載しており、450近い結社が記事を寄せている。高木氏が2011年に亡くなられた後も継続していたが、来年第42号をもっていよいよ終刊することとなったらしい。企業の単独で行うメセナ活動としては、俳句関係で最も大規模なものであろうが、俳句総合雑誌ですら次々に廃刊している現在、こうした直接俳句と関係のない事業活動を行っている企業の創業者の意志を継続するのは難しいらしい。
「俳壇抄」が気になったのは、この雑誌の第2号で、攝津幸彦が「豈」の紹介をしているからである。結社雑誌といっているが、この「結社」の定義は緩やかで、同人雑誌も含めているのである。当時攝津はまだ存命であった、攝津の言葉を見ておこう。
「理念=日本語に正しく向き合い、同人それぞれの個性を尊重しつつ、自由で斬新な『俳句空間』の創造の場を目指す。」(「俳壇抄」第2号・平成6年11月)
雑誌「豈」と本ブログが<俳句空間>を呼称する所以である。
0 件のコメント:
コメントを投稿