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ふかくながい破滅 小津夜景
読むことの快楽?
私、つじつまが合はなくてそのまま進んでどうしやうもなくなつて、と言つてもどうするつもりもなくて、帳尻を放棄したまま死んだところでおしまひつて話が好き。反予定調和な。
……と言ふと思つた? 言ふわけないわ。破滅は大団円よ。だつて真に純粋な帳尻が避けやう もなく世界に齎されるんだから。私さういふのがヤなの。わかつてくれる? 破滅はみんなに愛 されてゐる。その味はひが簡単に想像できて、快楽の初学者にも民主的に開かれてゐて、もう 最悪。
春昼をひらきし窓といふ失語
春百舌のしづもるるモノロオグなれ
うららかをささげもつ手のてぶらかな
シャツ戦ぐまひる告天使のやうに
きぬぎぬのあさつきぬたの柔らかさ
さらばとは聞かで消えたるのどかさの
春蝉を食みてきよらでぐうたらで
ラヂオふと死喩をあふるる春紅茶
朧夜のラ・フォンテーヌ茶房かな
かぎろひの五言よ永久に絶句せむ
【略歴】
- 小津夜景(おづ・やけい)
1973生れ。無所属。
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