2015年5月1日金曜日

第16号 あとがき



・第16号 花鳥篇がスタート。春興帖追補に東影喜子さんが登場。

東影さんの御名前は、詩客の時に記憶に残った方で、第15回松山俳句甲子園にて/筑紫磐井 にて最終戦の様子が記録されています。


・「評論・批評・時評とは何か?――堀下、筑紫そして・・・」、第8回。白熱する書簡…。今後の展開はいかに…。 

・今号より特集・特別連載の他、例えば、俳句時評、句集評、作家論、戦後俳句を読む、エッセイを【時評】にまとめました。 【うたうことを読む】として柳本々々(やぎもと・もともと)さんにご寄稿いただきました。ご本人のブログ「あとがき全集」(2014年1月1日より開始)。 

第3回攝津幸彦記念賞の詳細が決定。  》読む
2015年10月末日締切 作品30句。
ご応募をお待ちしております。



豈57号が発刊に。 ご購入は邑書林にてお取扱い中。

大井顧問のブログにも。  関連記事 その1  その2

豈57号 俳句作品よりご紹介。

<招待作家・50句>

夕顔のかおがきのうと異うのよ   金原まさ子
たましいが入り春キャベツかさばる
あそぶとき縄持ってくるアリスかな
花籠にたましいを入れ飼い馴らす
これは獣の寝たあとの石あたたかし

<新鋭招待作家>

同じ蚊に刺されて昼の情事かな   曾根毅

凩やいくつもの句を書き捨てて   冨田拓也

<同人作品>

日向より大き陰あり選挙の日   秋元倫
多分あれは中有の母を待つ白鳥   池田澄子
プルヌス・フロリドラ・ミヨシに間に合いし
深鍋に母迷ひこみあたたかし   丑丸敬史
桐一葉落ちればみょうに明るい木   大井恒行
煉獄カレー愛人と喰らわば小風吹く   大橋愛由等
大根は輪切りに死は平手打ち   大本義幸
追憶と海豚はいつも濡れている
寒い朝吐く息のみな霊に似て
不眠症向けの大根おろしかな   岡村知昭
核の傘いくつひろげて天の川   恩田侑布子
ガソリンの安い日葱も買ひにけり   鹿又英一
誇らしく傷つきやすし白木蓮   神谷波

残響は


 に
なれず
 冬
花 火     神山姫余

駅で突きとばされし僕の成りゆき   川名つぎお
日蝕は淫花を消耗して萌ゆる   北野元生
柿食えばどこかで漏れる汚染水   北村虻曳
滴りの国滅びつつ光りけり   倉阪鬼一郎
二十年油のはねる音がする   小池正博
人間を見届けている蟬の穴   小湊こぎく
あをぞらが痛くてならぬ花八つ手   小山森生
打水のここより龍の背中かな   五島高資
にんげんの不在あかるし春の水   堺谷真人
鋸が樹の真中にすすむ秋   坂間恒子
遅日なり何も考えない訓練   杉本青三郎
ねぎ一把ななめに抱くここちなり   鈴木純一
麦秋や地球は人に無関心   関悦史
蛇穴に入る血の色を青くして   関根かな
漢字ひとつ思い出せずに凍返る   妹尾健
仮面劇美男美女美女青みどろ   高橋修宏
エピタフに薔薇・ばら・バラ狂わねば   高橋比呂子
彼方此方春はうつつの混ぜご飯   津のだとも子
冬の家ふたつに割れるものばかり   中戸川奈津実
水涸るゝ石器時代も女ゐて   中村安伸
あをぞらは皆に配られクリスマス
ゆらゆらと午睡の魚のように妻   夏木久
空蝉を見てからのちの空模様   新山美津代
オイデオイデするすすきたち うさぎ穴  萩山栄一
表札の外され船のやうな家   橋本直
理科室の椅子の匂ひや春の雷   秦夕美
待ち針の赤ぽつぽつと小町の忌
梟鳴くほうと魂入れ替る   羽村美和子
鬱王に全裸で抱かる椿かな   早瀬恵子
朝寝して大きな鼻になりにけり  樋口由紀子
春の夜の山川呉服店点る  福田葉子
枕木を数え尽してまだ哭くか  藤田踏青
春寒や到来ものを仏前に  藤原龍一郎
のみほすにふかき真洞(まほら)のコップこそ  堀本吟
裸木の瘤の内なる父頑固  真矢ひろみ
人體は袋物かと夕日の出  森川麗子
君が眠る時僕は寒昴  森須蘭
永らえて尚嫌いなり厭な人  山上康子
全裸より勝る全裸の鏡餅  山崎十生
永遠に 母は娘の車椅子押し  山村曠
あんもないとのきしせいしんはかんほくと  山本敏倖
金魚玉疎(まばら)に溶けゆく三姉妹  わたなべ柊
藁屋根の藁より厚く雪積もる  亘 余世夫







・WEP俳句通信より特集「特集:「筑紫磐井著-戦後俳句の探求-<辞の詩学と詞の詩学>」を読んで」 執筆:関悦史、田中亜美、井上康明、仁平勝、高柳克弘 の各氏。 






(あとがき 北川美美)

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