2014年4月18日金曜日

 【俳句作品】  眠り   曾根 毅

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     眠り   曾根 毅

十薬に忘れられたる言葉たち

何処から翳り始めし潮干狩

遠くまで流れてゆけり夜の桃

馬の毛を梳かし八十八夜かな

為す術もなく吹かれいて蛇衣

かなかなや夢見がちなる草木に

白桃の疵さながらに曝しけり

皃の無き蟷螂にして深緑

何処まで月光に透く傘の骨

秋桜がレンズに触れてならぬなり

醒めてすぐ葦の長さを確かめる

尼崎あたり鉄屑時雨れけり

凭れ合う鶏頭にして愛し合う

冬雲の広がっている眠りかな

スカートとポインセチアが無造作に

凍蝶の眠りのなかの硬さかな

沼に映る冬木いつしか夕まぐれ

雪解星ふっと目を開く胎児かな

凍蝶を見に病棟を抜け出しぬ

春近く仏と眠りいたるかな



【作者略歴】

  • 曾根 毅(そね・つよし)

1974年香川県生まれ。「花曜」「光芒」を経て「LOTUS」同人。第四回芝不器男俳句新人賞受賞。現代俳句協会会員。


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