2021年11月26日金曜日

ほたる通信 Ⅲ(16)  ふけとしこ

    岩を抱へて

織られゆく糸の輝き銀杏散る

階段を上がつて窓を開けて冬

人形の髪の手触り冬の月

岩肌を転がる小石滝涸るる

落ちさうな岩を抱へて山眠る

 ・・・

 偶然にもルリチュウレンジという昆虫を知った。

 晩秋のある日ある寺を訪れた。蓮池へ回るとまだ実が残っていて、数個を手に入れた。お寺で泥棒行為をしてはいけないのだが……。そこで近くの木に絡んでいた藪枯らしの残り花の上に三匹の黒い虫を見つけた。見たことがあるかしら、初めてかしら? と思いつつ見た。小さな蜂のようでもあった。

 次の日に句会があった。それが終って外へ出た時に躑躅の植込みを多くの黒っぽい虫が飛び回っているのを見つけた。あれ? 昨日見た虫じゃないの? である。2日連続で見かけるとは、これは縁だろう。そう思って今度はじっくり観察した。

 何しろルーペは持っていないし、相手は動き回っているし……、ではあったが、ただ黒く見えた翅は藍色のような、もう少し青味があって瑠璃色に近いような色をしている。

 帰宅後調べたらルリチュウレンジ(瑠璃鐫花娘子)らしい。何に驚いたって、この漢字に、である。たかだか1センチ弱の黒っぽい蜂につけるような名前なのだろうか。「鐫」は初めて見る字だったし、意味も解らない。辞典によると「鐫」とは穴を開けるとか掘るとかいう意味があるとのこと。つまり、雌蜂が植物(多くの場合,ツツジやサツキ類)の茎に穴を開けて、そこに卵を産み付けることが名前の由来のようだ。その植物はつまり幼虫達の食草になるわけで、農家や園芸関係の人達からすれば害虫ということになる。

 綺麗な花には棘があるとはよく言われることだが、綺麗な虫にも何かがあるということだろう。何月頃に発生しているのか、これからは気にかけて見てゆこうと思っている。

 そう言えば今年の9月にはウバタマムシ(姥玉虫)を見た。須磨海岸から山へ続く道でのこと。いわゆる玉虫色のタマムシよりやや小さいだろうか。ウバタマムシは法隆寺の玉虫厨子で有名だから、その存在は知っていたが、見るのは初めてであった。初めてのことには幾つになってもちょっとドキドキする。

(2021・11)

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