2014年5月23日金曜日

【小津夜景作品No.24】   ハラペーニョで人類を    小津夜景


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(デザイン/レイアウト:小津夜景)








     ハラペーニョで人類を    小津夜景


珈琲を漉そうわずかに陽を混ぜて

触診のラジオはいつも嗄れている

パティオふぬけて犬のこじんまり

親しみのある謎である郵便夫

静かだな服ぬいでもの食う部屋は

ありくいは白昼ゆめを吐くらしい

とびとびの音盤火星年代記

ハラペーニョ煮て人類を略奪す

おんぼろのロボットあわれ能面に

パロールが犬を愛して獰猛にクール

蛸足をふと奥の手と捉えたる

あしのうらぽかんと眠るとき他人

ぞわぞわと梢は揺れて ん 斬られた

すこやかな没我に火薬庫の匂い

風死にそうよカフェインが多すぎる

飲み干せば風もいまわをうごかない

陽を爆ぜてからっぽのカップだ

読むだろう まさかりで窓を開いて

どこまでも棒立ちの散歩者になる

絶海へつづくゼブラゾーンが眩しい






【作者略歴】
  • 小津夜景(おづ・やけい)

     1973生れ。無所属。





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