2014年5月30日金曜日

【俳句作品】 平成二十六年花鳥篇 第一


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     曾根 毅(「LOTUS」同人)
たらたらと卵の白味花の昼
夕永し桜の房を弄び
夕ぐれの花に纏わる音一つ

     福永法弘(「天為」同人、「石童庵」庵主、俳人協会理事)
をさめ雛しるしありたるごと汚れ
元服の十五がかなし武者飾
七夕のおもたき筆の止まりがち

     杉山久子
桜蘂降る日さくさく鳩サブレー
花冷の地獄絵に鳥らしきもの
静脈のあをき道すぢ時鳥

     小澤麻結(「知音」同人)
まぼろしの如喪の列花の雲
桜蘂降るや言葉を待ちをれば
老鶯の死者喜ばせゐたるかな

     中村猛虎(1961年兵庫県生まれ。「姫路風羅堂第12世」現代俳句協会会員)
舳先よりゆっくり沈む花筏
桜湯やたまに腕組む距離のひと
飛花落花ピアスの穴の向こう側
花衣脱ぎてテロリストの死
花冷えの三面鏡に奴がいる
曾根崎の路地の奥より不如帰
告白の少し離れてほととぎす

     関根誠子(寒雷・炎環・や・つうの会所属)
梅古木男時女時の相似て来 
蝌蚪すみれ鶯の声は撮れないなあ
手に乗せて他生の縁の初蛙

     網野月を(「水明」「面」「鳥羽谷」所属。「Haiquology」代表。)
耳穴に鼻糞は無し若葉騒
死ぬ音を聞かせ母逝く若葉光
首筋に若葉疲れよ天女舞う

     ふけとしこ
湖までを木苺の花零しつつ
すかんぽを折つて道草完了す
しりとりの途切れすかんぽの萎れ

     もてきまり(らん同人)
鳴かぬ亀鞭もて責める老主宰
六道の角にセブンイレブン八重桜
攝津の帽子より生れて黒揚羽

     大井恒行
眼の端をぬらして芽吹く柳はも
菜の花や涙の鳥のウクライナ
敏雄句の戦塵訓話今朝の夏





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