2013年8月16日金曜日

【PR】「虚子研究余滴の会」の開催/筑紫磐井

こもろ日盛り俳句祭をプロモートした本井英が、さらに加えて、毎年この時期「夏潮」別冊<虚子研究号>を刊行している。虚子・ホトトギス一門であるか否かににこだわらず自由な虚子に関する論考を集めそれを刊行しているのである。今年で3冊目になるが、100頁を超える大冊である。のみならず、昨年からはこの研究の余滴を味わおうと、執筆者を集めて「研究余滴の会」を開催しており、次の要領で今年も開催されると予告があった。今年は俳句文学館を使って行われる。

日時:9月7日(土)13:00~16:00

場所:新宿百人町 俳句文学館 地下ホール

その他:入場無料

研究号執筆者による研究余談が語られ、質疑・応酬があるのだという。

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昨年私もはじめて<虚子研究号Ⅱ>に執筆したが、入院を控えて、「研究余滴の会」の出席は控えた。今年は是非出席したいと思う。

昨年は「関東大震災と虚子」と題して、虚子が雑誌経営者として関東大震災にどのような態度で臨んだか、すべての虚子の俳句の姿勢は関東大震災の言行から伺えることを示してみた。どんな批判が出たか、考えるだけでも楽しい。

今年は、昨年、井上泰至が、虚子は大正初期に冷徹・客観的な戦略を組んでいたと主張したのに対し、実は明治四十四年から大正二年の間すっかり俳句をやる気がなくなり、漱石や碧梧桐に鬱屈した思いを持ち、またおろおろしている虚子の姿を「喜怒哀楽する虚子」で描いてみた。
このように、とても虚子讃美でない、生身の等身大の虚子をたっぷりかける場はなかなか少ないところから、私にとっては貴重な場となった。

この他、児玉和子「『女七人に男一人』試論」は私の論の補強となるところもあり、感心しながら読ませていただいた。

【参考】

「夏潮」別冊<虚子研究号Vol.Ⅲ>2013年
目次
1.虚子の自選―『稿本虚子句集』/井上泰至
2.鴎外と〈子規の衣鉢〉、あるいは、近代日本の亡失された水脈―鴎外と虚子(その一)―/大石直記
3.高浜虚子における「もの」と「こと」についての覚書/岸本尚毅
4.『女七人に男一人』試論/児玉和子
5.虚子句と漢詩文/高橋魚雷
6.喜怒哀楽する虚子―明治四十四年十月から大正二年九月まで―/筑紫磐井
7.虚子の周辺~大谷句佛/松岡ひでたか
8.「花鳥諷詠論」の展開/本井英

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