2013年11月8日金曜日

【俳句作品】 平成二十五年 冬興帖 第二

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          木村修(「玄鳥」)
過呼吸の埴輪の中の冬銀河
鳴りやまぬ迷子放送ずくの耳
日に一度梟の中かき混ぜる


          曾根 毅(「LOTUS」同人)
蝋のような耳に触れたる冬帽子
枯芝の匂う齢となりにけり
老犬に従い歩き花八手


          小林千史(「翔臨」)
雪届くまで水面の玲玲と
水音を袋とぢして冬用意
リュウグウノツカイの小顔枯れの果て


          池田瑠那(澤同人)
笙の音かすか水仙の花の裡
宗谷灯台紅白塗や冬の草
指笛のをはり高音冬の空


          小早川忠義(「童子」会員・あすてりずむ)
お十夜や粥冷むるまで陰膳に
夜祭や明るき西武秩父駅
べつたら市抜けて向かふは高島屋


          西村麒麟「古志」
いただけるならもう少し冬休
わがままな鶉と遊ぶ冬休
鶉の絵上手に描けて冬休


          栗山心(「都市」所属)
冬の夜の血潮飛び散る映画かな
寒造人の恋路を肴とす
冬めくやバター滑らぬライ麦パン


           中西夕紀
貝剥きの指の真赤やゆりかもめ
枯葉舞ふ光に神を信じをり
生前を語りて汁の葱熱し



          陽 美保子(「泉」同人)
神留守の寝るとき開く熱の口
冬ぬくし裏の畑といふ言葉
片脚の泛いてをりたる冬の虹



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