( 令和8年2月11日に亡くなられた樋口由紀子の追悼句会が広瀬ちえみ氏と宮本佳世乃氏により 2026年3月3日開かれました。その作品集477句より抜粋しました。)
ヒグチのヒ・ユキコのユ・ナミダのナ 池田澄子
あの人の居ない姫路の花便り
書いて消すことをいくたび霙の夜
鳥帰る姫路城より眠たくて 岡村知昭
励まされ三叉路は梅匂うなり
溌溂よ天守閣から下りてきて
房重き宇宙の葡萄堪こらえるや 北村虻曳
厳冬の海に一つの穴穿つ
炎天下寒き色して百日紅
晴女いつも隣で笑つてた 堺谷真人
空席に残るぬくもり鳥雲に
梅見茶屋あと二人なら座れます
春泥に汚さぬ下駄のひとそろひ 筑紫磐井
春節の鍋がこぼれて由紀子思ふ
うしろ姿は建国の日の野草摘み
たましひの倉庫のやうな朧月 橋本 直
陽炎のあなたの君も明からむ
犬笛を鏡に吹かば黄砂降る
得意だったなバックストローク 藤田踏青
早すぎないか式服干すのが
彼の世でも柳俳のグラス傾けて
ほほ笑みはつかの間青空のベンチ 振り子
木の根走るところは晴れて 雨傘
はくれんのすぐそば逆立ちの晴れ傘
建国日せっつにゆっこを会わせたの 堀本 吟
死にますか山のかなたに服を干し
蝋梅と脳細胞を入れ替える
梅東風や黄泉への道をほがらかに 村山恭子
春光へ言葉弾みぬ「めるくまーる」
貴女なら数多のこたへ竜の玉