2025年2月28日金曜日

【連載通信】ほたる通信 Ⅲ(55)  ふけとしこ

ケサランパサラン

 ケサランパサラン春の月より降り来しか

 ケサランパサラン白鷺城に余寒あり

 ケサランパサラン春の星まで飛ぶ夢を

 ケサランパサラン動き出すまで待つ朧

 ケサランパサラン朧夜を転がれる

    ※ケサランパサラン 姫路市立動物園に展示あり

・・・

 「おばあちゃんと何かお料理したい」

孫娘が言う。末っ子。五歳。

「何作る?」

「えーとねえ、ギョウザ」

 具の用意はまだ無理かな。そこは私が手を出すことにする。

「あのね、ハートの形のギョウザ作りたい」

「え?」

 この子はハートの形が好きなのだ。以前白玉団子を作ったときもハートを作る…と頑張ったのだが、茹でると丸くなってしまうから、ちょっと歪なものができた。

 クッキーならともかく、餃子とは……どうしようかな。ちょっと考えて、皮をハート形に切ることにした。具を平たく置いて2枚を貼り合わすという作戦。ところがこれがなかなか大変。皮は沢山いるし、フライパンに並べられるのもせいぜい3個。で、6個だけハート形にして、大人用には普通の餃子ということにさせて貰った。

さて、件のギョウザはどうなったか。具が入る分だけ膨らむから、何だかふっくらとしたハートになった。茹でても蒸してもこの形はかなり難しい。(と、納得させた)

 何しろままごとの延長だから、楽しければそれでいいのだ。

 彼女が今迄で一番喜んだのが豆腐を潰すことであった。適当な量を手に乗せて、グチャグチャと潰す。それが楽しいようで、キャッキャッと大はしゃぎだった。

 料理ではないがこの子が最近覚えたのが、私の手の甲に浮いた血管を抓むこと。まあ迷惑なことではあるが、手を使うことをすると目立つから気になるのだろう。

わが手首のガングリオンにはまだ気づいていない。これが見つかったら、きっとグリグリってさせて~と言うだろうな。

(2025・2)