【俳句作品】 リインカーネーション ／ 近恵

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　　　リインカーネーション 　　　近恵

梅雨明の開いて閉じる足の指

蛍の点滅まなこ痒くして

髪洗っても洗っても洗っても

琉金の真正面をうごかない

朝焼をさえぎる手の甲に血管

映るたび壊し泉を私す

大西日血小板をこそげとる

カッコウカッコウ心臓が帰って来ない

ため息の場所から夏の霧生まれ

体液を集めもうすぐ海月になる



【作者紹介】

• 近 恵　（こん・けい）

1964年生まれ。青森県出身、都内在住。2007年春より俳句を始める。「炎環」同人、「
豆の木」メンバー。2009年炎環新人賞。2010年5名による合同句集『きざし』。2011年
現代俳句新人賞佳作。