木の橋
暖かや鶯神楽も咲きさうに
浅春の奈良や煮麵いただいて
飛火野や鹿に寄られて春帽子
末黒山三十羽ほど鳥群れて
木の橋の揺れを渡れば囀れる
・・・
最近の新聞広告で「奥村記念館」のことを知った。
奥村とは建築会社「奥村組」のこと。どんな所なのかな~と興味が湧いた。吟行仲間を誘って行ってみた。
奈良の町を歩くのはいつ以来だろう。鹿に挨拶されるのも本当に久し振り。いいお天気で紅梅も咲いていて……。
お山焼きを終えたばかりの若草山もゆったりと青空に映えていて美しい。まさに末黒山だが、いつ見てもなだらかな山容だ。本当は若草山の麓にある刃物屋へ行きたかったのだが、今回は諦めた。
奥村記念館は2007年に開館されたということだからまだ新しい。創業100年を記念して地元への還元事業とのことである。
「古都の景観に溶け込むデザイン」とパンフレットにあるように、実際に黒と消炭色を基調にした色合いの建物は、外から眺めるだけでも美しい。入館無料というのも嬉しい。コーヒーサーバーまである。これも無料。
創業は明治40年とのことで、その当時の品なども歴史を感じさせるように展示されている。創業者の奥村太平氏の手帳もあり、こと細かにびっしりと書かれた文字が几帳面な性格を思わせて興味深い。ただガラスケースの中にあり、読み取ることは難しかった。
門外漢にはよく解からないが、ハニカム構造や免振技術等、建築関係の人には(ほんのさわりだけにしろ)面白い展示に違いないだろう。
2階には展望テラスがあって真向いに東大寺が見える。金色の鴟尾が美しく、鳩の群が白く輝きながら舞い上がり、また舞い戻りを繰返していた。
修学旅行の高校生らしい5,6人のグループに声をかけられた。
「〇〇へはどう行けばいいですか?」
さて、こちらも分からない。
「スマホに聞けば? 」「いや、スマホ使えないので」とのこと。地図を見たり誰かに訊ねたりして歩きなさい、と言われているのだとか。
ふーん、そうなんだ……だったが、成程ね、と納得もした。彼らにはきっといい旅になっただろう。
和菓子屋の奥の喫茶室でささやかな句会をさせてもらった。この喫茶室も始めてだったが、居心地よく本当に穴場だった。
(2026・2)