2026年1月30日金曜日

【鑑賞】豊里友行の俳句集の花めぐり43『蜂の巣マシンガン』竹岡一郎第一句集(2011年刊、ふらんす堂)を再読する。 豊里友行

  この-BLOG俳句新空間-で刺激を受けていた俳人のひとりだった。

 鬼籍に入られて長らく歳月が過ぎても俳句の感動は、鮮やかに蘇ってくる。

 「-BLOG俳句新空間-」や「びーぐる32号」の俳句時評(竹岡一郎)で私の第2句集『地球の音符』の評論「赤ン坊(アカングワ)のために」には、今もって指針になる。今、私の第7句集は、竹岡さんこの「赤ん坊のために」を軸に命を守り育てるテーマで句集編集に取り組んでいる。

 竹岡一郎さんの俳句は、観察眼と詩的把握、大胆な詩的題材をおおらかに詠いあげている。

 観察眼に裏打ちされた感性が光る句。

絨毯を深々と刺すハイヒール

凍鶴の灯れるごとくゆらめけり

原爆忌水面に鯉の口あまた

雪仰ぐ飼育係も雌の鰐も

老い枯れし手が白桃を剥いでゐる


 独特な把握が魅了で詩的把握力が光る句。

松虫の籠かかげ見る貴船かな

遊星の一塵として着ぶくれぬ

野の果は荒るる海なり鬼やらひ

風船のたましいひ入りて上がりけり

虹の根に死者の家ある遠野かな

浜木綿や風吹かば死者還り来む

手毬唄とも南朝の嘆きとも

蟇言霊呑んで太りけり

揚雲雀太陽に裁かれんとす

蛆も輝け神の創れる生なれば

あの雲は龍のぬけがら草ひばり

もろこしを剥げば即ち光の束


 私は、俳人それぞれの俳句哲学があるべきだと想う。

 竹岡一郎氏の俳句には、俳句哲学や生き様の美学がある。

 小川軽舟氏をして「よろしい、それがあなたの美しい人生だ。」と言わしめる。

 現代社会のサバイバルを生き抜く俳人の生きた証に魅了された。


 他の共鳴句もいただきます。ありがとうございました。合掌。


 今生は道頓堀に虫売りぬ

 地獄より来て灼くる血をもてあます

 トランクはヴィトン家出は雁の頃

 抱き合ふ我ら即ち鬼火とも

 バンジーが好き同棲の昔より

 靖国は悔し尊しちちろ止まず

 蜂の巣の俺人生はマシンガン

 愛だの恋だの蛇口十(とを)ほど休暇明

 稲妻となつてお前を喜ばさう


【関連リンク】

-BLOG俳句新空間- : 【読みきり】「たとえ僕らの骨が諸刃の刃だとしても ~竹岡一郎句集「けものの苗」を読んで~」豊里友行(2018年12月28日金曜日)

-BLOG俳句新空間-  びーぐる32号俳句時評(竹岡一郎) 

「赤ン坊(アカングワ)のために」(2016年11月11日金曜日)

http://sengohaiku.blogspot.jp/2016/11/ichiro.html