2013年9月13日金曜日

平成二十五年 秋興帖 第二

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          岡村知昭

新涼の神父三角座りだが

色鳥のいるよ神父のうしろには

ひげしろくなくても神父月あかり


          堀田季何(澤・吟遊・中部短歌)

蛇穴に入る虎穴とは知らぬまま

新(あらた)しき塚穴避けて穴惑

無人偵察機迫り来蛇穴に

泰然に漫然と蛇穴に入る

月明に逢ひし蛇(じや)なればもう逢へず

丈縮み縞目黒ずみ蛇穴に


          曾根 毅(「LOTUS」同人)

旋毛のさやさやさやと稲の花

順番を間違えて来し鬼やんま

黄落や路傍の石として朽ちて


          仙田洋子

昇天やふうせんかづらより軽く

盆の路べたつきさうな小蟻かな

茄子胡瓜いづれの馬に乗りたきか


          西村麒麟(「古志」)

はつとして今虫売でありにけり

見られてしまひ蜩が木の裏へ

流星を見てトラックは次の街


          もてきまり(「らん」同人)

性格が単子葉類ひね生姜

無花果の肉吸ふ少年羽化途中

大くちびるの静かに傾ぎ秋の空


          小林かんな

ちちろ虫窯出しの藍深くして

流木の集まるところ秋入日

初雁を仰ぐ角度や哨戒機


          中村猛虎

本堂にソーラーパネル秋麗

稲光畳の上の薄き女

忘れ物取りに初秋の同窓会

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