猛虎句集の紅の挽歌 よみました。
余命だとおととい来やがれ新走
卵巣のありし辺りの曼殊沙華
新涼の死亡診断書に割り印
少年のどこを切っても草いきれ
月天心胎児は逆さまに眠る
たましいを集めて春の深海魚
冬すみれ死にたくなったらロイヤルホスト
缶蹴りの鬼のままにて卒業す
ひとりずつカブセルにいて花の雨
心臓の少し壊死して葛湯吹く
昔、猛虎氏にどのようにして句を作るのか尋ねたことがあります。
そのとき、見せてくれた数枚のペーパーには、季語のない、句になる前の言葉が順不同に書き付けられていました。
会話、生活、仕事、体験等から得られたと思われる言葉、本、 雑誌、映画、旅行等から閃いたと思われる言葉です。
これに二物衝撃の季語をつけていくと言っていました。
また、句は1年間寝かしてから世にだすとも。
猛虎氏は直情怪行型の天才ですが、地道な取材を積み重ね、季語の組み合わせを試行錯誤し、最適の句を見つけていく「言葉のエンジニア」でもあります。 技術者の努力が句集に結実したことをともに喜びたいです。
小さい引出しから季語を頼りに句を作っている自分に少し反省しています。
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