2022年12月23日金曜日

救仁郷由美子の回想②  筑紫磐井

  バックナンバー全てがある訳ではないので、手元にある「琴座」から選ばせていただく。追って追記したい。

●琴座 平成元年11・12月(454号)

這賊集

 大井 ゆみこ

薔薇園ノ少女が死ンダ夏が来ル

積木積ム室ノ白壁日ヲ止メル

空虚とロックスカートに赤い髪

踊らない十五歳彼岸ハイヒール

死にゆく口火の見やぐらは深く焼ゆ


琴座集

じゃんけんぽん曇った空に友他界 東京都 大井 ゆみこ

置きざりの生きてる不思議動かせぬ

闇惑う見ること聞くことかかえしも

星月夜マシュマロ含んだ秋を待つ

風さわぎ路面電車の白昼夢


●琴座 平成2年1月(455号)

這賊集

大井 ゆみこ

十代の夢はっながらぬ十字路赤信号

少年の皮膚に被さる母の夢

春風にへその緒切って未央あちら

赤まんま静かに思い染めあげし

鰯雲ただ泣きじゃくるつたなき日


琴座集

往路あり降り積む疲れ夜露あり 東京都 大井ゆみこ

ヤリ切レヌフルサトハナシステーション

往生に水底行きて挨拶す

月光が呼吸の谷問に挾まるる


●琴座 平成4年7・8月(477号)

這賊集

大井 ゆみこ

虚空にて面影たどる五月哉

洞はかの五月に死した男持つ

四ツ辻や解決不能回転す

朝な夕な引きさかれては燃ゆ山河

山肌に国是流せよ立つ緑


●琴座 平成5年7・8月(483号)

這賊集

大井 ゆみこ

月下の船天地水木櫓に交わす

川上に死の灰拒んだ絵看板

六月の闇に迷走笑い草

窓枠に山河見ばえし死化粧

白光や泥はね路地踏む祭かな