◎第78回現代俳句協会賞
井口 時男(いぐち・ときお)・句集『その前夜』(深夜叢書社 発行)
◎受賞者のプロフィールは次のとおりです。
◇井口 時男(いぐち ときお)
1953(昭和28)年2月3日、新潟県生まれ、70歳。
◇文芸歴・俳句歴
1983年(昭和58年)「群像」新人文学賞評論部門を受賞し、文芸批評活動開始。著書多数。
1994年(平成6年)『悪文の初志』で第22回平林たい子文学賞。
1997年(平成9年)『柳田国男と近代文学』で第8回伊藤整文学賞。
2012(平成24年)から「隠遁」し、俳句を作り始める。
2020年(令和2年)『蓮田善明 戦争と文学』で第70回芸術選奨文部科学大臣賞(評論等部門)。
◇現在
文芸批評家&俳人。現代俳句協会会員。「豈」、「鬣」、「鹿首」の各同人。
◇句集
『天來の獨樂』(2015年)『をどり字』(2018年)『その前夜』(2022年)
◇『その前夜』より自選5句
怪獣はみな孤独だつたな夏日星
その前夜(いまも前夜か)雪しきる
君逝きて電子文字降る枯野かな
蝶落ちて鱗粉の街メイド服
草藤や水の家族を母が呼ぶ
○選考委員氏名(五十音順)
恩田侑布子、塩野谷 仁、高岡 修、照井 翠、前川弘明、渡辺誠一郎。
○表彰式
令和5年11月3日(土)午後1時より「東天紅・上野店」にて開催の第60回現代俳句全国大会席上にて。
【筑紫注】
井口氏は「豈」「鬣」同人。「兜太TOTA」編集委員。俳句評論集に『金子兜太―-俳句を生きた表現者』(2021年藤原書店刊)。
『その前夜』(2022年8月深夜叢書社刊)
定価2500円+税
帯
その前夜(いまも前夜か)雪しきる
世界やはらげよ雨の花あやめ
微かに聞こえるエコーを掬い、共振しつつ紡がれた十七音―-
〈俳句と自句自解によって織りなす作家論〉という活気のスタイルで、
室井光弘、河林満という二人の作家を見事に描出したエッセイも収載、
俳句実現の新たな可能性を拓く第三句集 深夜叢書社
内容
一 句帖から
2018・2019・2020・2021・2022
二 連作から
三 旅の句帖から
エッセイ
追悼句による室井光弘論の為のエスキース
十四年をへだてて河林満に贈るこの世の四季の十句