『澤田和弥句文集』(2024年10月17日東京四季出版刊)が刊行されたところから、若干ご縁のある「俳句新空間」で特集を組みたいと思い、津久井紀代さんにご協力をいただきたいとお願いをし、ご快諾をいただいた。津久井さんは、「(澤田和弥一周忌に寄せて) こころが折れた日 澤川和弥を悼む」(天為28年5月号)で澤田和弥再発見の第1の契機を作った恩人となる人であるから是非ご意見を伺いたかったのである。本特集でも巻頭の言葉を寄せていただいた。
特集の内容についてもご意見をいただいた。今回刊行された『澤田和弥句文集』は澤田和弥を知るために欠かすことのできない資料集となったと思うが、澤田和弥の活躍は多端にわたり、かつ一部の人しか知られない作品も多い(特に文章において)。今回の特集ではとりあえず「豈」「俳句新空間」等の掲載記事を中心に編集した。以下目次を掲げることとする。
「第1編 豈・俳句新空間編」には同誌に掲載した記事を中心に収録した。
「現在という20世紀」は「豈」57号(2015年4月24日発行)に依頼して執筆してもらった原稿であり、同世代作家をながめながらも、それらの中で特に園田源二郎と石原ユキオに注目した理由を述べる。
「肯うこと ―西村麒麟第一句集『鶉』読後評―」はBLOG「俳句新空間」で【西村麒麟『鶉』を読む5】の1編として掲載したものである(2014年2月21日号)。
「無題」(葉書通信45号)は世の常の葉書通信と異なり、たった1通、澤田自身さえ手控えのない葉書通信である。ここに掲げたのは筑紫あてである。多くの人が受け取っているはずであるが、手元に残している人は少ないに違いない。机の中を探して確認してほしい。
「第2編 「美酒讃歌」(1~9)」はBLOG「俳句新空間」2022年7月1日から12月9日まで掲載したエッセイである。「美酒讃歌」は編者がとりあえずつけた題名である。
「第3編 澤田和弥論」は、BLOG「俳句新空間」に掲載した澤田和弥論を集成したものである。これからも多くの澤田和弥論が登場すると思うが、現時点までの澤田和弥を知っておくことは必要であると考えた。
本来であれば、師系に当たる、有馬朗人氏、遠藤若狭男氏が相応しいのだが、お二人ともなくなっており、残った者たちが参加することとなった。
澤田和弥句文集』特集目次
はじめに
澤田和弥句文集について 津久井紀代
凡例 筑紫磐井
➀「現在という20世紀」(豈57号)
➁「肯うこと ―西村麒麟第一句集『鶉』読後評―」 【西村麒麟『鶉』を読む5】2014年2月21日
➂「無題」(葉書通信45号)
第2編 美酒讃歌(1~9)
➀麦酒讃歌
➁続・麦酒讃歌
➂焼酎讃歌
④熱燗讃歌
⑤続・熱燗讃歌
⑥冷酒讃歌
⑦新酒讃歌
⑧続・新酒讃歌
⑨地酒讃歌
●津久井紀代
(澤田和弥一周忌に寄せて〉 こころが折れた日 澤川和弥を悼む [天為28年5月号]
澤田和弥は復活した
澤田和弥のこと
●筑紫磐井
澤田和弥の最後とはじまり
澤田和弥は復活する
澤田和弥の過去と未来(BLOG「俳句新空間」2015年7月24日)
困窮のこと(俳句界・2020年8月号)
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『澤田和弥句文集』(2024年10月 東京四季出版刊 3,520円)
澤田は早稲田大学に入学し、早大俳句研究会で高橋悦男、遠藤若狭男の指導を受け、その後有馬朗人主宰の「天為」により活躍した。句集は唯一の『革命前夜』を刊行したのち、2015年5月9日に亡くなった。享年35であった。
<『澤田和弥句文集』主な内容>
【俳句作品】
第1句集『革命前夜』
「早大俳研」・「天為」・「週刊俳句」・「第4回芝不器男俳句新人賞」・「のいず」・「若狭」掲載作品
【随筆評論】
寺山修司における俳句の位置について(「早大俳研」)
或る男・序詞(「天為」)
鉛筆(「天為」)
有馬朗人第一句集『母国』書誌学的小論(「天為」)
結論は俳句です(「のいず」)
俳句実験室(「若狭」)
寺山修司「五月の鷹」(「週刊俳句」)