2013年5月24日金曜日

平成二十五年 花鳥篇  第四

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   山崎祐子(「りいの」「絵空」同人)
カチカチ山の遅桜見にゆかれしよ
桜蘂降つて谷底赤くする
みどりの夜マイクロシーベルトの呪文


   三宅やよい
ワイシャツの父が舟漕ぐこどもの日
式服の母がしとめる油虫
ところてんのような女に横恋慕


   池田瑠那(「澤」同人)
初花の蕊の黄金【くがね】を愛【お】しむべし
珈琲豆あらく挽きたり朝桜
ポタージュの缶に刃立つる桜かな



   松尾清隆
移植即満開となる桜かな
つばくろや線路をまたぐ歩道橋
両岸に舟だまりある桜時



   小早川忠義 (「童子」会員)
蓋のなき冷蔵庫越し影ありき
揚羽蝶お釣り欲しがる手にも見え
雲行きに早々しまふ氷旗


   北川美美(「豈」「面」同人)
白牡丹奥にひそめる丹の色
垂れてくる南無阿弥陀仏と藤の花
さざなみのかがやけるとき鳥の恋
うつつ無しいよいよ花鳥になるか




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