2013年5月17日金曜日

【俳句作品】平成二十五年 花鳥篇 第三

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内田麻衣子(「野の会」同人)
葬頭川の花守頬掻く癖のひと
茎立や野田琺瑯にオランダ煮
標的がいない直立独子蒜


吉村毬子(「Lotus」同人)
切り株愛す遊僧へ飛花落花
目眩以降は椿の道を行きなさい
鳥影を授かりてより皐月音

中山奈々(「百鳥」「里」所属)
葉桜や臨機応変にも限度
ほととぎす薬の殻の角曲げる
ほととぎす泰淳著書はみんな書庫

太田うさぎ(「雷魚」「豆の木」「蒐」所属)
日の当る廊下は春の蠅も好き
鳥じしん首傾げをる巣箱かな
春雨を待つかに万太郎旧居

藤田るりこ(「秋麗」所属)
朧夜の闇へ降りゆくエレベーター
茉莉花や母へ手を振る初老の子
汐干狩進化の果ての白き脚


堀田季何(「澤」「吟遊」「中部短歌」)
卯月なり影深くして象の皺
象の尻攀ぢのぼる蟻わが事か
昼寝てふ(かたち)もたざる(ざう)に乗る

小林千史(「翔臨」会員)
まだ聞かず花盗人となる理由
青麦をつんのめり出て空へ行く
ほとときす樹の貧相な絵を眺め


仲寒蝉
 まくれても剥がれぬ切手鳥雲に
菜の花や川を下れば日本海
看板のどれもみな美女桜の夜

堀本 吟
卵黄に箸をぶすりと夏はじめ
石段をやっとこ登る若葉かな
葉桜やむかしむかしといはばこそ

筑紫磐井
蝙蝠がゐて鳥類のかまびすし
花も鳥も古澤太穂は木っ端微塵
   なんとなく春~夏2句
大概の女が嫌ふ君の名は?
男女には越えてはならぬ深みどり

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