2016年4月22日金曜日

抜粋「俳誌要覧2016」(東京四季出版・2016.3刊)〈俳誌回顧2015鼎談〉より② 「評論」「俳句」選



「俳誌要覧2015」の〈俳誌回顧2015〉筑紫磐井×中西夕紀×田島健一の対談は参加者としてもなかなか面白かった。ここにその一部を紹介する。ここでは、各人が取り上げた評論、俳句作品を示そう。


―2015年の俳句結社誌・同人誌における注目のエッセイ・評論など3篇―

【筑紫磐井】

○「地貌季語を求めて」小林貴子ほか(「岳」)  
○「俳句私小説俳句論のゆくえ」堀切実(「汀」)  
○「俳句実験室 寺山修司」澤田和弥(「若狭」)  

【中西夕紀】

○「私たちの戦争の記憶」鈴木要一ほか(「滝」)
○「『青春俳句』の系譜を継ぐ者」坂本登(「晶」) 
○「曾良を尋ねて」乾佐知子 (「春耕」)

【田島健一】

○「成分表」上田信治(「里」)
○「俳人たちはどのように俳句を『書いて』きたか?」小野裕三(「豆の木」) 
○「選と聖性」関悦史(「澤」) 

―2015年の俳句結社誌・同人誌における注目の句10句―

【筑紫磐井】

アベ政治を許さない [金子兜太・澤地久枝?](件の会現場)

   *    *

秋蝶のあとついてゆく眠くなる  鳥居三朗(「雲」⑩) 
行く春を大和の峠暗がりに  和田悟朗(「風来」20号) 
菜の花のひかりは雨となりにけり  澤田和弥(「若狭」⑦) 
またの世も師を追ふ秋の螢かな  三森鉄治(「郭公」⑫) 
帰り道金木犀を嗅ぎながら   飯田香乃(「朱夏」123号)

   *    *

三月の風よ集まれ釘に疵 大本義幸(「俳句新空間」4号) 
人がゐて麦茶をいれてゐたりする  生駒大祐(「クプラス」2号) 
水性の町春服の乾きゆく  宮本佳世乃(「オルガン」1号) 
一本道ゆくやじりじり首焼けて  中西夕紀(「都市」⑧)


【中西夕紀】

顔映す泉の底に別の顔     仲寒蝉   「里」⑥ 
声あらばきつとハスキー豆の花 浅井陽子 「運河」⑧ 
見ゆる音聴こゆる光葦青し 南十二国 「鷹」⑧ 
蛾を打つて心鱗粉まみれなる 伊藤季実 「汀」⑨ 
薔薇赤し軍港として今も尚 田島照子 「夏潮」⑩ 
神々は寡黙なりけり雲の峰  山中多美子 「円座」⑩ 
しづけさのつれづれに蘆混み合へり 瀧澤和治 「今」秋 
青空は何もこぼさず蟻地獄  涼野海音 「火星」⑩ 
途中から目の裏側へ鳥渡る  柳正子 「小熊座」⑪ 
長き夜や明りを消してわれ消して  桑原三郎 「犀」202


【田島健一】

うららかに暮らした跡のあるほとり  鴇田智哉 「オルガン」1号 
六月に生まれて鈴をよく拾ふ  生駒大祐    「オルガン」2号 
ひまはりのすべてに布のかけらるる  宮本佳世乃 「豆の木」19号 
うるほへる下くちびるとアニメの火  佐藤文香 「クプラス」2号 
衣かつぎ百年前の雷を聞く  川口真理 「港」① 
何もない日の籐椅子に日が入る  田中惣一郎 「里」⑥ 
ふ、は鳥になり昆布干す人が仰ぐ  依光陽子  「クプラス」2号 
さえずりの空をつくりし会社かな こしのゆみこ 「豆の木」19号 
誰も知らない初雪のできる音 近恵    「豆の木」19号 
てのひらを片付けられずクリスマス  大石雄鬼  「豆の木」19号


※詳しくは「俳誌要覧2015」をお読み下さい。


東京四季出版 「俳句四季」  






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