2014年3月28日金曜日

【竹岡一郎作品 No.10】  怒張の国・春變 3 / 竹岡一郎


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     怒張の国・春變 3  竹岡一郎

天回さむ 山火 はるかに討たるるも

のみど無き鬼身が山火呑みこぼす

泉下より種芋の箱引き出だす

火は宣れり諸手の作る磯竈

桜貝踏みしだきつつ届け遺書

兵たちに春の日溜黄泉溜

鶴引いてよりくれなゐの飛来音

父の骨立ち上がり囀り羽撃つ

いつの世の焦土へ桜吹き送らむ

磐座 大鉈 だが春邃(ふか)く遁げる人魚



【作者紹介】

  • 竹岡一郎(たけおか・いちろう)

昭和38年8月生れ。平成4年、俳句結社「鷹」入会。平成5年、鷹エッセイ賞。平成7年、鷹新人賞。同年、鷹同人。平成19年、鷹俳句賞。
平成21年、鷹月光集同人。著書 句集「蜂の巣マシンガン」(平成23年9月、ふらんす堂)。

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