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小早川忠義(「童子」会員・「あすてりずむ」)
バンダナをあねさん被りよなぐもり
春雪やいで湯に男叫びあひ
鳥の巣や我が家に鬼門裏鬼門
堀下翔(「里」「群青」)
落ちてきし羽のかたちに雪解くる
点字ブロック到る雪解の交差点
春寒し全一幕となる口伝
春寒し土もやよひの出土展
試奏よりはじまつてゐる卒業歌
卒業や画鋲覗けば顔うつる
小野裕三(「海程」「豆の木」所属)
春楼に東京の水差し出しぬ
啓蟄やおのおの試す壁抜けの術
雪濁り北寮に窓窓窓窓
佐藤りえ(「恒信風」)
盆の窪押されて春のこゑがでる
靴下を濡らしてきたる野遊びや
月代にものの芽生ふる指南かな
草餅や人の真似して生きてゐる
醒めるたび函あけてゐる春の夢
水岩瞳
ゆっくりと咲いてゆっくり散る梅花
混沌はわたしの証春の泥
無常迅速なりからからと風車
堀田季何
黄金の御空あり蛇穴を出づ
蛇穴を出づ己が身を舐めつくし
蛇穴を出づ種の滅び知らずして
蛇穴を出づ入りてまた出づるため
林雅樹(「澤」)
真夜過ぎてホテルのロビー桃の花
花屑の溜まるやコインパーキング
突風に跳ねてぶらんこ鎖鳴る
小久保佳世子
啓蟄の光る服着て工夫らは
春の昼役者は化粧して老けて
空席の前に置かれし桜餅
島田牙城(「里」お世話係)
争点を雲と霞の界とす
本に天地くはへて遊び青き踏む
とはいへのとはは問はれじ鳥の恋
仲 寒蝉
海市への船荷の袋人のかたち
日本語に聞こえアラブ語あたたかし
アイロンが船の形や涅槃西風
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