2013年5月17日金曜日

【俳句作品】 無辺際 / 依光陽子

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     無辺際      依光陽子


夕立のはじめ夕立の終りかな

風景や一株のカーネーションを置き

夢に叫べば明易の湖がある

影は白光は黒や夏の蝶

下闇に独り唄へば声の掠れ

さらりさらり月に歩める守宮かな

一八やひとつは青い雲がゆく

夢に見し人に顔なき夏野かな

記憶それも茅花流しの渦の中

オルガンのペダル倒さば虹が立つ



【略歴】

  • 依光陽子
 1964年生まれ。「クンツァイト」「屋根」所属。1998年第44回角川俳句賞受賞。共著『現代俳句最前線』『俳コレ』。

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