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平成二十五年歳旦帖 第三
関悦史
おぞましきポスター満つる初日かな
新年の七時のプロパガンダかな
一ツ目の猫が尿せり初山河
仙田洋子(「秋」「天為」同人 句集『橋のあなたに』『雲は王冠』『子の翼』『仙田洋子集』、他に『親子で楽しむ こども俳句教室』など)
幼子のよろこびはしる初日かな
初春や地中に眠るものあまた
御降のかくもあまねく秋津島
鏡餅宇宙に燃ゆるものいくつ
幼子のしきりにさはる鏡餅
小川春休(「童子」「澤」)
御降やすこし休みてまた酌むも
這ひ出でて餅食うてまた眠るとは
初仕事とて文鳥の餌捏て
津髙里永子(「小熊座」同人)
七種のフリーズドライてふ極み
繭玉の枝を縛りしこと内緒
日脚伸ぶ茶房の壁の遺作展
下半身肥大症気味水仙花
ゴムの木のゴムの葉冴ゆる歯科医院
もてきまり(『らん』同人)
危機無音まこと初蝶申します
虚無といふ賑はひ新春雷門
鬱屈をやや甘く煮て八ッ頭
村井康司(「鏡」同人)
媽祖廟の極彩色に初日かな
ぱぱと云はれ馬鹿とも云はれ大旦
せりなづなクミンオレガノ舌に苔
佐川盟子
雪をはく跡にこなゆきふるゆふべ
所作に気をとられていたり初詣
御降や雪は水へと眉の上
湊圭史
おめでとうを言うと笑いが込み上げる
新年の猫のおでこのルンバかな
ポチ袋からぎゅっぎゅっとにぎる音
網野月を(「水明」同人)
時代の所為にしてはいけないごまめ炒る
アメリカンドックにディスペンパック去年今年
愛してるって不思議な言葉薺摘む
松本てふこ(「童子」同人)
あの星はぎよしや座カペラと除夜詣
炬燵寝の母や身体をねじりつつ
元日やサッカーボールの影長き
三宅やよい(「船団の会」所属。)
初富士と同じ高さにラブホテル
日が落ちて正月映画回り出す
獅子舞の獅子に噛まれる列につく
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