2018年7月27日金曜日

第94号

●更新スケジュール(2018年8月10日)

*発売中!*
冊子「俳句新空間」No.9 
特集:金子兜太追悼
   平成雪月花句集
*購入は邑書林まで

第4回攝津幸彦記念賞発表! 》詳細
※※※「豈」60号・「俳句新空間」No.8に速報掲載※※※

各賞発表プレスリリース
豈60号 第4回攝津幸彦記念賞発表 購入は邑書林まで




【雑誌『兜太 TOTA』創刊・イヴェント開催のお知らせ】
※金子兜太関連書籍・雑誌案内



平成三十年 俳句帖毎金00:00更新予定) 
》読む

平成三十年 花鳥篇

第六(7/27)岬光世・依光正樹・依光陽子・近江文代
第五(7/20)前北かおる・望月士郎・林雅樹・下坂速穂
第四(7/13)岸本尚毅・渡邊美保・神谷 波・木村オサム・堀本吟・内村恭子
第三(7/6)坂間恒子・網野月を・渕上信子・田中葉月・山本敏倖・原雅子
第二(6/29)椿屋実梛・夏木久・杉山久子・小沢麻結
第一(6/22)仙田洋子・辻村麻乃・松下カロ・曾根 毅



【新連載・黄土眠兎特集】
眠兎第1句集『御意』を読みたい
1 『御意』傍らの異界   大井さち子  》読む
2 つくることの愉しみ   樫本由貴  》読む
3 相克する作句姿勢~黄土眠兎第一句集『御意』~   川原風人  》読む
4 黄土眠兎はサムライである。   叶 裕  》読む
5 生活者の目線   天宮風牙  》読む
6 御意てっ!   仲田陽子  》読む
7 重なる日常と不思議   本多伸也  》読む
8 私の声が言葉の声であること   曾根 毅  》読む
9 北京ダックまでは前菜花氷   森本直樹  》読む
10 出会うべくして――『御意』を詞書から探る   岡村知昭  》読む


【新連載・西村麒麟特集2】
麒麟第2句集『鴨』を読みたい
0.序に変えて   筑紫磐井  》読む
1.置いてけぼりの人  野住朋可  》読む
2.ささやかさ  岡田一実  》読む
3.乗れない流れへの強烈な関心  中西亮太  》読む
4.ある日の麒麟さん句会  服部さやか  》読む
5.千年宇宙のパースペクティブ  佐藤りえ  》読む
6.鴨評   安里琉太  》読む
7.水熱く――西村麒麟『鴨』の一句   堀下翔  》読む
8.私信 麒麟さんへ   藤井あかり  》読む


【新連載】
前衛から見た子規の覚書  筑紫磐井 
(1)子規の死   》読む
(2)子規言行録・いかに子規は子規となったか①   》読む
(3)いかに子規は子規となったか②   》読む
(4)いかに子規は子規となったか③   》読む
(5)いかに子規は子規となったか④   》読む
(6)いかに子規は子規となったか⑤   》読む
(7)いかに子規は子規となったか⑥   》読む
(8)いかに子規は子規となったか⑦   》読む
(9)俳句は三流文学である   》読む
(10)朝日新聞は害毒である   》読む
(11)東大は早稲田に勝てない   》読む
(12)子規別伝1・子規最大のライバルは落合直文   》読む
(13)子規別伝2・直文=赤報隊・東大古典講習科という抵抗   》読む
(14)(9-2)俳句は三流文学である――続編   》読む
(15)子規別伝3・新体詩の創始者落合直文   》読む
(16)子規別伝4・明治書院・大倉書店と落合直文   》読む




【夏休み特別企画】
  文庫で読める俳句集     》読む




【—俳句空間—豈weeklyアーカイブ】
■第0号(創刊準備号)●俳句など誰も読んではいない・・・高山れおな  》読む

■第0号(創刊準備号)●アジリティとエラボレーション・・・中村安伸  》読む






【抜粋】
〈「俳句四季」8月号 
俳壇観測187/速報!朝日俳壇新選者高山れおな――最年少俳壇選者から見る新しい俳句
筑紫磐井 》読む


  • 「俳誌要覧2016」「俳句四季」 の抜粋記事  》見てみる




<WEP俳句通信>




およそ日刊俳句空間  》読む
    …(今までの執筆者)竹岡一郎・青山茂根・今泉礼奈・佐藤りえ・依光陽子・黒岩徳将・仮屋賢一・北川美美・大塚凱・宮﨑莉々香・柳本々々・渡邉美保 … 
    • 7月の執筆者 (柳本々々・渡邉美保) 

      俳句空間」を読む  》読む   
      …(主な執筆者)小野裕三・もてきまり・大塚凱・網野月を・前北かおる・東影喜子
       好評‼大井恒行の日々彼是  》読む 




      雑誌『兜太 TOTA』第1号
      〈特集〉金子兜太とは何者か
      2018年9月創刊

      編集長 筑紫磐井
      編集委員 井口時男・伊東乾・坂本宮尾・中嶋鬼谷・橋本榮治・横澤放川・黒田杏子(編集主幹)
      〈第1号 寄稿予定者〉
      井口時男/池内紀/伊東乾/加賀美幸子/金子兜太/金子眞土/ドナルド・キーン/窪島誠一郎/黒田杏子/坂本宮尾/佐佐木幸綱/澤地久枝/下重暁子/瀬戸内寂聴/高山れおな/筑紫磐井/中嶋鬼谷/夏井いつき/橋本榮治/長谷川櫂/藤原作弥/アビゲール・フリードマン/星野恒彦/マブソン青眼/宮坂静生/宮崎斗士/横澤放川
      (五十音順・敬称略)



      —筑紫磐井最新編著 近日刊行—
      虚子は戦後俳句をどう読んだか
      埋もれていた「玉藻」研究座談会
      深夜叢書社刊
      ISBN 978-4-88032-447-0
      ¥2700


      *発売中*
      冊子「俳句新空間」No.8 
      特集:世界名勝俳句選集
      購入は邑書林まで

      【夏休み特別企画】文庫で読める俳句集

      暑中お見舞い申し上げます。
      今回は夏休み特別企画として、絶版・品切れを除いた書店で注文して読める俳句文庫(※作品集のみ/鑑賞書、俳書は除く)をピックアップしてみました。
      短夜の読書のお供に、ご参照ください。


      【予約受付中】8/24刊行
      橋本多佳子全句集 (角川ソフィア文庫)
      http://amzn.asia/6vG4YUe




      芭蕉俳句集(岩波文庫)
      https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784003020630

      芭蕉全発句 (講談社学術文庫)
      http://amzn.asia/8HOusUY

      芭蕉連句集(岩波文庫)
      https://www.iwanami.co.jp/book/b245789.html

      芭蕉全句集 現代語訳付き(角川ソフィア文庫)
      http://amzn.asia/7Dqgv9F



      一茶俳句集(岩波文庫)
      http://amzn.asia/a4yxRi1

      蕪村俳句集(岩波文庫)
      http://amzn.asia/41HddNL

      井月句集 (岩波文庫)
      http://amzn.asia/4ALEEvE

      子規句集 (岩波文庫)
      http://amzn.asia/b70Cetu

      碧梧桐俳句集 (岩波文庫)
      http://amzn.asia/0v3yQFS



      尾崎放哉全句集 (ちくま文庫)
      http://amzn.asia/erHUOGc

      飯田蛇笏全句集(角川ソフィア文庫)
      http://amzn.asia/g46wdEW

      西東三鬼全句集 (角川ソフィア文庫)
      http://amzn.asia/el3XdCz

      漱石俳句集 (岩波文庫)
      http://amzn.asia/2CXhR1u

      山頭火句集 (ちくま文庫)
      http://amzn.asia/5o7Ny1E

      山頭火句集 (春陽堂書店)
      http://amzn.asia/ifX2EGO

      桂米朝句集(岩波文庫)
      https://www.iwanami.co.jp/book/b263725.html


      (文責:佐藤りえ)

      【抜粋】〈「俳句四季」8月号〉俳壇観測187/速報!朝日俳壇新選者高山れおな――最年少俳壇選者から見る新しい俳句 筑紫磐井

      ●高山れおなのプロフィル
       現在、新聞俳壇で最も大きな権威となっているのは朝日俳壇であろう。歴代の選者は、虚子・誓子、人間探求派の草田男・楸邨・波郷が務めてきたから、殆ど現代俳句史そのものといってもよかった。現在は、稲畑汀子、大串章、長谷川櫂が務めている。四人目は金子兜太であったが、この二月になくなっているので、その後継選者について大きな関心が集まっていた。特に、新聞俳壇において金子兜太はただひとりの前衛系の選者であったからだ。そしてこの七月から、兜太に代わって高山れおなが就任することとなった。これに伴い、たった一人の四〇代の新聞俳壇選者が登場したことになる。これは、戦後生まれ作家(長谷川櫂、小澤實等)を通り過ぎて、新世代の魁となるものであった。とはいえ、高山のプロフィルは余りにも知られていない。ここで簡単に紹介することにしたい。
       高山れおな(一九六八年生まれ)は結社を知らない俳人である。総合雑誌「俳句空間」(大井恒行編集長)の投稿欄に早稲田大学の学生時代に応募したのが始まりで、その後攝津幸彦の「豈」に入会した。一時期「豈」の編集長を務めている。
       高山の名を一躍高からしめたのは、二〇〇九年、筑紫磐井・対馬康子と共編で『新撰21』(邑書林)を刊行し、新しい若手人材を発掘したことである。当時、若手俳人は多く結社に逼塞し自由な活躍の場がなかったが、この選集、及びこれに引き続く『超新撰21』(邑書林)により一気に俳壇で光を浴びることとなったのである。現在殆どの総合雑誌が結社の主宰者よりは新人に豊富なページを提供しているのはこうした契機によるものである。パトロンによる資金の確保から、結社を超えた人材の発掘まで、高山がいなければ今日の若手時代は存在しなかったに違いない。
       実はこれに先立って、「豈」同人中村安伸とBLOG雑誌『―俳句空間―豈weekly』を二年間にわたって運営している。百号で打ち切ったのは潔いし、かつその記事の半ばを自ら執筆し、至るところで論戦を繰り広げた。BLOG時代の立役者といってよいであろう。特に俳句ではなく、評論・論争のためのBLOGであったことも大きな特色であった。また『豈weekly』を通じて、『新撰21』の資金確保もここで実現したから、常に長期的な経営視野を持っていた作家――むしろプロデューサーであったことになる。
       その後「豈」のほかに自ら雑誌も創刊した。若手俳人に大きな反響を与えた「Ku+(プラス)」がそれであり、これも非常に戦闘的な雑誌であり、既存の俳壇を震撼させようという意図に溢れていた。『新撰21』『超新撰21』で登場した若手、その後の後続世代が参加したが、やや息切れをして雑誌としては二号で終刊した。 「芸術新潮」の副編集長を務めており、公職との並立が少し苦しくなってきたのかも知れない。なぜなら、『豈weekly』と同様、殆ど自分が中心となって、企画編集をしていたからだ。
       これほどの活躍をしながらも、角川書店の最新版「俳句年鑑」の主要俳人の活躍を取り上げた「年代別二〇一七年の収穫」の四二八名の中には高山を上げていない。俳壇主流派から疎外されていたという意味で、金子兜太によく似ているように思う。
      (中略)
       近く、藤原書店より雑誌「兜太TOTA」が創刊され、多くの人に開かれた創刊記念シンポジウム(有楽町朝日ホール九月二五日)が開催されるが、これに引続き、金子兜太追悼と新しい朝日俳壇選者を迎えて「兜太と未来のための研究フォーラム」(仮)が一一月一七日(土)開催される予定である(入場無料、場所は未定【注】)。パネラーには若手俳人を招致し行われるところから多くの若手の入場を期待している。
      【注】津田塾大学千駄ケ谷キャンパス
      ※詳しくは「俳句四季」8月号をお読み下さい。

      【新連載・黄土眠兎特集】眠兎第1句集『御意』を読みたい10 出会うべくして――『御意』を詞書から探る 岡村知昭

       「極めて個人的な印象です」との断り書きをした上で恥ずかしながらここに記すのだが、私にはいわゆる「詞書」が付けられた一句に対しての若干の苦手意識があるようなのである。特に大きな理由があって、というものではないのだが、強いて挙げるとしたら、一句の前の詞書の存在によって、読み手である自分が一句に対して向かい合おうとするときに、作者から「このように読んでください」との制限が課されてしまったかのように思い込んでしまっているから、なのかもしれない。もちろん、詞書の存在が一句により広がりを産み、その一句が一冊の句集のなかで他の一句との響き合いをもたらし、句集にさらなる広がりをもたらしてくれるということも重々わかってはいるので、この『御意』に収められた詞書付きの作品に対しても「一句に広がりをもたらしているか」「一冊に広がりをもたらしてくれるのか」との目線をもって向かい合っていきたいのである。なぜ、このようなことを長々と書いてしまうのかといえば、この『御意』においては、詞書の付いた作品が五句あるのだが、それぞれの作品に付けられた詞書の中身を見ていくと、この句集の全体へとつながるものが見えてくるような印象を受けるからなのである。

        優衣へ
       ふらここに立ちて冒険始まりぬ
        彩子へ
       断髪の少女夏野の扉を開く
        達哉へ
       小鳥來ぬ少年の棋譜読みたれば


       この三句に登場する「優衣」「彩子」「達哉」の三人、おそらくは子どもで、作者をはじめとした大人たちからの愛情をいっぱいに浴びていて、といった具合にひとまずは受け取るのだが、もし「優衣」「彩子」「達哉」の詞書がなかったら、この三人を子どもと受け取っただろうか、との気持ちにもなる。ぶらんこに立ち乗りする「優衣」をまぶしく見守っているのが友達であっても、棋譜を読んでいる「達哉」を見つめているのが別の少年である可能性だってないわけではない。
       しかし、作者はこの三句ではあくまでも、一句の詞書に三人の名前を付けることにこだわる姿勢を崩さない。それはこの三人に対して寄せる想いの深さの表れから来るものなのだろうが、誰かへの想いではなく「優衣」「彩子」「達哉」への想いであると確かに記しておかなければ成りたたない、との確信の固さも、それぞれの詞書からは浮かび上がってくる。そういえば、一読したときにはこの「優衣」「彩子」「達哉」の三人は作者の身内とか近所の誰か撮った身近にいる子供たち、と思い込んでいたのだが、この印象すらも、この三句に付けられた詞書からもたらしたものなのかもしれないのだ。いまここにいる愛おしい存在への想いの深さは、詞書を通じてよりはっきりと伝わってくるのである。

         阪神淡路大震災
        まだ熱き灰の上にも雪降れり
         父死す
        白木槿身のうちに星灯しけり


       この二句では、句に付けられたそれぞれの詞書が、自らが抱え込んでしまった死者への鎮魂や悲しみといった感情を、一句により深く刻み込む役割を担っている。
       「まだ熱き」の句では、もし詞書がなかったとしたら「阪神大震災」ではなく、東日本大震災を詠んだ一句としても通用したのかもしれない。「雪降れり」は東北の被災地に降った三月の雪になったのかもしれない。だが詞書が付されたことによって、自らが目の当たりにした「阪神大震災」への想いが、あの日「熱き灰」の一部となってしまったのかもしれない、との想いと、時が経つにつれて薄れてしまいそうになる記憶に対して抗おうとする気持ちをともなって、「阪神大震災」を詠んだ一句として読み手を導いてくる。
       一方、「白木槿」の句はこのあとの「風花や父の匂ひの牧師館」と合わせて、亡き父への想いにあふれた作品であるが、亡くなった父の身体が「星灯し」ている、と捉えたのは、これからはじまる父の不在という現実の大きさを、懸命に受け止めようとしているかのようである。身のうちに輝く星と、白木槿の白の取り合わせのまぶしさは、自らの悲しみの深さをより際立たせるために選び取ったのかもしれず、それを受け止めるには「父死す」の詞書はどうしても欠かせなかったのだろう。逆に「父の匂ひ」の句で詞書が付けられなかったのは「父」がはっきり登場するからだけではなく、父の死を受け止めた時間の経過を、自らの身のうちに感じ取ったからなのかもしれない。作者にとって「阪神大震災」の記憶をつなぎとめようとする姿勢と、父の死への溢れるばかりの哀しみとは、もうここにいない、もう会うことのない人たちへの哀しみと慈しみに満ちているのだ。
       一冊の句集に収められた詞書にこだわりすぎたかもしれない、という気持ちは正直あるのだが、しかし、こだわってみてきたからこそ見えてきた『御意』の側面は確かにある。いまここにいるいとけなき者への愛情、肉親や巨大災害の犠牲者といった、すでにこの世のものではなくなってしまった人たちへの哀しみ。このふたつの想いの底に流れているのは、いまここにある存在を慈しもうとする、ひとりの女性の姿ではないか、それこそが『御意』という句集なのではないか、という風に、この一冊を読めば読むほどに感じずにはいられなくなっているのが、只今の個人的な印象なのである。

        生前の指冷たかり紙漉女
        大寒の星の匂ひを嗅ぎにゆく
        銀行の金庫に育つ余寒かな
        朝寝して鳥のことばがすこしわかる
        カッパ卷きしんこ卷春惜しみけり
        アマリリス御意とメールを返しおく
        リアス式海岸に水打ちにけり
        蜘蛛の囲いにかかつてばかりゐる人よ
        一人唄ふ國歌はさびし稻光
        薄紅葉記念写真に鳩がゐる


       印象に残っている句をこうやって挙げてみると、どの作品もモノや人との出会いを喜び、「紙漉女」であれ、「リアス式海岸」であれ、対象に対しての慈しみの深さを感じずにはいられない。そして、作者にとっての喜ばしい出会いの数々をもたらしてくれたのは、まぎれもなく俳句との出会いである。俳句との出会い、俳句を通じての出会いによって生まれた、この『御意』という句集。詞書のある作品は五句なのだが、もしかしたら、どの作品においても、こんな隠れた詞書が付されているのかもしれないと思ってしまうのだ、「ここで出会えて、うれしい」。

      2018年7月6日金曜日

      第93号

      ●更新スケジュール(2018年7月27日)

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      【告知】朝日俳壇新選者に高山れおな氏


      【雑誌『兜太 TOTA』創刊・イヴェント開催のお知らせ】
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      平成三十年 俳句帖毎金00:00更新予定) 
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      平成三十年 花鳥篇

      第三(7/6)坂間恒子・網野月を・渕上信子・田中葉月・山本敏倖・原雅子
      第二(6/29)椿屋実梛・夏木久・杉山久子・小沢麻結
      第一(6/22)仙田洋子・辻村麻乃・松下カロ・曾根 毅


      平成三十年 春興帖

      第九(6/15)網野月を・水岩 瞳・青木百舌鳥・佐藤りえ・筑紫磐井
      第八(6/8)岸本尚毅・辻村麻乃・山本敏倖・加藤知子・下坂速穂・岬光世・依光正樹・依光陽子
      第七(6/1)近江文代・渕上信子・花尻万博・浅沼 璞・五島高資
      第六(5/25)木村オサム・渡邉美保・内村恭子・真矢ひろみ・前北かおる
      第五(5/18)林雅樹・ふけとしこ・小沢麻結・飯田冬眞
      第四(5/11)堀本吟・小林かんな・神谷波・望月士郎
      第三(5/4)仲寒蟬・曾根毅・夏木久・坂間恒子
      第二(4/27)大井恒行・田中葉月・椿屋実梛・松下カロ
      第一(4/20)北川美美・小野裕三・仙田洋子・杉山久子


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      1 『御意』傍らの異界   大井さち子  》読む
      2 つくることの愉しみ   樫本由貴  》読む
      3 相克する作句姿勢~黄土眠兎第一句集『御意』~   川原風人  》読む
      4 黄土眠兎はサムライである。   叶 裕  》読む
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      6 御意てっ!   仲田陽子  》読む
      7 重なる日常と不思議   本多伸也  》読む
      8 私の声が言葉の声であること   曾根 毅  》読む
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      2.ささやかさ  岡田一実  》読む
      3.乗れない流れへの強烈な関心  中西亮太  》読む
      4.ある日の麒麟さん句会  服部さやか  》読む
      5.千年宇宙のパースペクティブ  佐藤りえ  》読む
      6.鴨評   安里琉太  》読む
      7.水熱く――西村麒麟『鴨』の一句   堀下翔  》読む
      8.私信 麒麟さんへ   藤井あかり  》読む


      【新連載】
      前衛から見た子規の覚書  筑紫磐井 
      (1)子規の死   》読む
      (2)子規言行録・いかに子規は子規となったか①   》読む
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      (13)子規別伝2・直文=赤報隊・東大古典講習科という抵抗   》読む
      (14)(9-2)俳句は三流文学である――続編   》読む
      (15)子規別伝3・新体詩の創始者落合直文   》読む
      (16)子規別伝4・明治書院・大倉書店と落合直文   》読む




      【—俳句空間—豈weeklyアーカイブ】
      ■第0号(創刊準備号)●俳句など誰も読んではいない・・・高山れおな  》読む

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      【抜粋】
      <「俳句四季」7月号> 
      俳壇観測186/俳文学研究者の現代俳句への提言  ――山下一海・復本一郎・堀切実の業績
      筑紫磐井 》読む


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      およそ日刊俳句空間  》読む
        …(今までの執筆者)竹岡一郎・青山茂根・今泉礼奈・佐藤りえ・依光陽子・黒岩徳将・仮屋賢一・北川美美・大塚凱・宮﨑莉々香・柳本々々・渡邉美保 … 
        • 7月の執筆者 (柳本々々・渡邉美保) 

          俳句空間」を読む  》読む   
          …(主な執筆者)小野裕三・もてきまり・大塚凱・網野月を・前北かおる・東影喜子
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          雑誌『兜太 TOTA』第1号
          〈特集〉金子兜太とは何者か
          2018年9月創刊

          編集長 筑紫磐井
          編集委員 井口時男・伊東乾・坂本宮尾・中嶋鬼谷・橋本榮治・横澤放川・黒田杏子(編集主幹)
          〈第1号 寄稿予定者〉
          井口時男/池内紀/伊東乾/加賀美幸子/金子兜太/金子眞土/ドナルド・キーン/窪島誠一郎/黒田杏子/坂本宮尾/佐佐木幸綱/澤地久枝/下重暁子/瀬戸内寂聴/高山れおな/筑紫磐井/中嶋鬼谷/夏井いつき/橋本榮治/長谷川櫂/藤原作弥/アビゲール・フリードマン/星野恒彦/マブソン青眼/宮坂静生/宮崎斗士/横澤放川
          (五十音順・敬称略)



          *発売中*
          冊子「俳句新空間」No.8 
          特集:世界名勝俳句選集
          購入は邑書林まで


          【―俳句空間―豈weeklyアーカイブ】■第0号(創刊準備号)2008年8月15日金曜日 創刊のことば  中村安伸

          ■創刊のことば

                 アジリティとエラボレーション     ・・・中村安伸

            創刊時のメンバー――これが固定的なものか、流動的なものかもまだまったくわからないが――の中で、比較的コンピュータに関する知識を持っていると思われている私が、当ブログのデザインとメンテナンスを行うことになった。

            毎週更新する俳句関連のブログ、という出発点から「週刊俳句」を強く意識していることを隠すつもりはない。実際、ブログサービスは同じもの(Blogger)を使用しているし、デザインテンプレートも色が違うだけで、まったく同じものを使用している。

            レイアウト作業を進めるうえで何か問題にぶちあたったとき、「週刊俳句」を参照すると、それがスマートな方法で解決済みである、ということが何度もあったが、躊躇無くその解決策を取り入れることにした。

            「週刊俳句」のシステムを考案し、実現してきたさいばら天気さん、上田信治さんに感謝し、その努力に敬意を表するものである。

            ただし、われわれがやろうとしていることは、もちろん「週刊俳句」と同じものではない。作品発表を行わない点も異なるし、「俳句空間―豈」という特定のグループとのつながりを鮮明にするという点では、オープンな場を目指す「週刊俳句」の逆を目指すものと言えるだろう。

            さて、遅筆であることを自覚している私――自分自身のブログを半年以上放置しているのでもある――が、俳句関連の書評を、しかも毎週書くというハードな企画に参加しようと思ったのは、そのような自分自身を調教し、訓練するためである。今は、綱渡りに挑もうとする芸人のように、冷たく緊張し、熱く興奮してもいる。

            さらに付け加えるなら、このブログはインターネット媒体の特性のひとつである「アジリティ(迅速性)」を体現しようとしているものだが、私個人の投稿に関して言うと「いつでも修整可能である」という、もうひとつの特性を重視したいと考えている。いったん発表した文章についても、積極的に練り直し――大江健三郎の言い方に倣えば「エラボレーション」――を行ってゆくことをあらかじめ申し上げておく。

          【―俳句空間―豈weeklyアーカイブ】■第0号(創刊準備号)●俳句など誰も読んではいない・・・高山れおな


           2008年8月から始まり2010年7月18日をもって終わった「―俳句空間―豈weekly」は作品発表でなく、評論発表ためのサイトでありユニークなものとして評価された。こうした特色に注目され、様々な刺激的発言、論争が行われ、さらにこの場から、『新撰21」『超新撰21』も生み出されていった。俳句の世界で、新しいものが少しばかり動き出した瞬間と言ってよいだろう。
           しかし御多分にもれず、BLOGの世界は忘れられやすい。こうした発言があったことさえ忘れられている。ときおり思い返してもいいのではないか。
           創刊から10年を迎えようとしている現在、当時新鮮であった発言をいくつか抜き出しみることにしたい。(筑紫磐井)

          ■第0号(創刊準備号)2008年8月9日土曜日

          ■創刊のことば 
          俳句など誰も読んではいない     ・・・高山れおな

            「―俳句空間―豈weekly」を創刊する。俳書を読み、その感想を記す文章のみのサイトで、作品発表の場所ではない。

            俳句の世界には、他人に読まれることを待っている人は大勢いるが、他人の書き物をみずから読もうとする人はいたって少ないと誰かの発言にあった。そもそも結社誌なる存在にしてからが、主宰者を主体にした刊行物という見せかけのもと、多数の小口の出資者が共同でひとりの読み手を雇っていると考えた方が実態に近いだろう。意地悪く言えば、句会もまた、俳句作品に対する贋の需要を最小限の犠牲で発生させる装置なのだ。こうした事態への慣れによって、誰が自分の作品を読むのかという目もくらむような問いは隠蔽され、読むこと、読まれることに対する奇妙に楽観的な心性が形成される。平明とか難解といった言葉が、いかにも屈託なく作品評価の場を支配することになる。

            俳句人口なるものがどんな誇大な数字を示そうとも、俳句など誰も読んではいない。残念ながら事実はその通りだが、しかしこの事実に甘えて、みずからもまた読むことに怠惰であったのではないかという反省が今はある。当サイトの立ち上げは、数週間前、雷雨の神楽坂の某酒肆でとつぜん決まった。古人曰く「兵は神速を貴ぶ」というわけで何の準備もないままの見切り発車である。創刊メンバーは、生野毅、中村安伸、高山れおなの3名だが、おいおいに書き手が「豈」内外に広がってゆけばよいと思っている。

          二〇〇八年八月八日の夜記す

          【新連載・黄土眠兎特集】眠兎第1句集『御意』を読みたい9  北京ダックまでは前菜花氷  森本直樹


            北京ダックまでは前菜花氷

           一読して思わず笑ってしまった。北京ダックが出されるまでにいくつもの料理を食べた。そのなかに前菜ではない品も混じっていただろう。しかし、北京ダックが来るや、それらの品は過去のものになり、前菜と同じ扱いになってしまう。季語とも相まって、北京ダックから特別な物という感じが伝わってくる。そして北京ダックを、それこそ目を光らせながら、見詰める人物の姿や人柄も浮かびあがってくる。
           『御意』の中には、この句のように食べ物を詠んだ面白い句が幾つもある。

            啓蟄をさつとゆがきて畑のもの
            カッパ巻しんこ巻春惜しみけり
            朝涼や旅の終はりのハムエッグ


           新鮮な畑のものをさっとゆがいて、いただく。啓蟄との取り合わせが楽しく、地面からぽんぽんと山菜や野菜などが飛び出している姿も想像した。二句目は、安価な巻物の代表格と季語との取り合わせだが、噛みしめるたびに鳴る力強い音が春が終わってやってくる夏のイメージに繋がって面白い。三句目、旅館の朝食では、火を通しすぎてややぱさっとしたハムエッグが高確率で出てくる気がする。家でも簡単に作れるものなのに、なぜか印象に残ったのは旅の終わりの朝食だからか。
           食べ物の句ばかりを取り上げたが、他にも面白い句はたくさんある。

            魚が氷に上がりて貯金増えにけり

           おかしみがある句で好きだ。この増えた貯金も微々たるものかもしれない。しかし、いずれ氷が解けるように、気が付けば魚はどこかにいってしまうように、この貯金も消えて行ってしまうのかもしれない。

            金魚田の金魚や泥に潜りたがる


           水槽の中や祭りの出店で泳ぐ姿しか見たことがない人間にとっては非常に驚きのある句だった。吟行などで、実際にその姿を見なければ作れない力強さがある。

            リアス式海岸に水打ちにけり


           海辺での打ち水の景だろうがこう書かれると、神が波という形でリアス式海岸に打ち水をしているいようにも見えてくる。現実から、どこか、神話のような世界に飛躍する。

            くわりんの実まだ少年に拾はれず

           確かに、少年は落ちているものをよく拾いたがることを考える時、公園などに落ちるかりんの実にとって最も身近な人間は少年かもしれない。拾われないかりんの実に思いを寄せるときのかすかな孤独感が伝わってくる。
           観察の句が多いが、時に発見の力強さが見え、また、虚構の世界との繋がりも見え。一句一句の着地点が非常に多彩だと感じた。

            結論は先に書くべし冬木の芽


           『御意』という句集一冊を通して、書くこと。あるいは俳句を詠むということに一本の筋を通し続けようとする眠兎さんの姿が立ち上がってきた。