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平成二十五年歳旦帖 第二
羽村美和子(「豈」「WA」「連衆」同人)
去年今年何もなかったように原子炉
今年の顔どれにしようか福笑い
初明かり鋭角に伸びる未来都市
しなやかに踊るロボット初東風す
破魔矢さす活断層のど真ん中
お降りのビニール傘の親子透け
北村虻曳(たるにゆ・1978-1993; 北の句会・2003-; 定型短詩集「模型の雲」・2004 冨岡書房; 歌会sora・2005-; 豈・2006-)
掘りあげて棒に絡める蛇の玉
室伏が振り回してもS字型
その始め無に点りたるウロボロス
飯田冬眞(「豈」同人)
若水の断末魔聞く指紋かな
掬ひ損ねる貘の初夢
福寿草宦官の沓滑らかに
上田信治(1961年生れ。「週刊俳句」運営スタッフ)
そこにはない襖の開いて御慶かな
おしぼりが正位置にある福寿草
元日の夜もまないたの白さかな
栗山 心(「都市」所属)
繭玉のやや紅の濃き祇園かな
輪飾や京野菜売る古き店
二日はやマクドナルドに待たさるる
福田葉子(「豈」同人)
遠近の島を夢みて年送る
兵役もなき国の駅伝
火山湖に神の水湧く淑気かな
原雅子(「梟」同人)
常なるを以て佳かりし御慶かな
隈取りに男をあげし初芝居
ぬか雨や日を経て固き切山椒
内村恭子(「天為」同人)
年用意金銀紅白色絵皿
鳥は風つないで来たり冬木立
そしてまた船は出てゆく大旦
前北かおる(「夏潮」)
去年の雲ほどけて残る御空かな
北斎が富士描く鳰が水尾を引く
四歳の本厄福寿草の毒
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