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池田澄子(句集『たましいの話』『拝復』他。「豈・船団・面」所属。)
車線変更して新年に入りにけり
太箸の夕べは夜になりたがる
久し振りとは老け合つて牡蠣雑炊
藤田踏青(「豈」同人)
見つめ尽くせば巳詰め尽くした自画像となる
逢引の冬の花火と金魚鉢
山は静かに河は激しく受胎する
しなだしん(「青山」)
元旦へぶらさげてある束子かな
神のみな目の垂れてゐる宝船
火の中に炎くづれて雪になる
岡村知昭(一九七三年生まれ、「豈」「蛮」「狼」所属)
空腹の僧の饒舌おおみそか
はにかみへあくびで応え鏡餅
セーターを脱いでしまわぬ射的かな
中西夕紀(「都市」主宰)
門松や今は昔の江戸見坂
初空のいづこへ急ぐ伝書鳩
腰掛けてわが足浮けり初山河
池田瑠那(「澤」同人。俳人協会会員。)
去年今年すばる輝き増しにけり
水巡る地球のけふの初手水
書初の春の払ひの勢【きおい】かな
野口る理
のど飴の光宿せる御慶かな
妹の伊勢海老を組み立ててゐる
嫌はれず好かれず舌を出し新年
大井恒行(一九四八年山口県生まれ。句集に『風の銀漢』、著書に『教室でみんなと読みたい俳句85』など。)
歳旦の箸置き幾つ窓秋忌
白き蛇みずうみ渡る幻氷期
非常停止ボタン四度使われ年の暮
西村麒麟
お雑煮を食べて雑煮を食べにけり
拉麺を欲すれどまだ雑煮あり
お雑煮はそのうち飽きるさう言へず
本当に雑煮の餅は一つで良い
大好きとまでは行かざるお雑煮よ
筑紫磐井(「豈」・俳人協会評議員)
定年の龍が蛇にと改りぬ
晩年に一寸先の影法師
網の上で笑止と餅がころがるよ
シンプルなライフを嘉しとお正月
幸うすき女と撮る年賀状
仲 寒蝉(「港」「里」)
つくづくと垢見つめをる初湯かな
読初の栞に古き宝くじ
初山河静止衛星から画像
若冲の象となりたる福笑
死刑ある国に生まれて雑煮餅
北川美美(「豈」「面」)
元朝の庭にさしこむ志
鏡文字映して読まん年賀状
渋滞の橋ゆれつづく二日かな
野口る理さん、西村麒麟さんの所属表記を訂正いたしました。今更の訂正で誠に大変申し訳ございません。心よりお詫び申し上げます。深く反省しております。(管理人)
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