2013年2月8日金曜日

平成24年夏の思い出――こもろ日盛俳句祭記録(2) /筑紫磐井

8月28日(土)  (兼題「滝」・嘱目吟行句も可)



※句会縦画像 画像をクリックすると大きくなります。
 




 

 

  • A会場(24人)

永方裕子選
泥濘に渡す丸太や時鳥         中田尚子

中田尚子選
滝の音だんだん遠くなる背中        常盤しがこ

山西雅子選
瀧風と別れ瀧音と別れけり        本井 英

筑紫磐井選
虚子庵の二股電球蚊遣香        松野秀雄

本井 英選
声かけて谷より貰ふ夏花かな     町田綾子

伊藤伊那男選
客の来て動き出したる作り滝           岩佐晴子

  • B会場(22人)


山田真砂年選
白糸の滝に一張一弛あり             小林貴子

小林貴子選
炎日のひとしく小石大き石            湯口昌彦

島田牙城選
拾ひたるところに戻し落し文           飯田美恵子

今井 聖選
足裏の方から吹けり青田風            星野直人

  • C会場(21人)


神野紗希選
わが影をあふれ晩夏の蝶とべり              藺草慶子

西山 睦選
白樺の梢に滝のひかりさす           神野紗希

井越芳子選
雨の中滝を見てゐる家族かな       上田信治

藺草慶子選
滝になるまへ水重く集ふなり           佐藤文香

土肥あき子選
蚊遣火の灰落ち馬のまばたけり          西山 睦

  • バス会場(26人)


片山由美子選
帰心とは薄雪草にかがむこと           櫂未知子

櫂未知子選
どの木からともなき風の涼しさよ      片山由美子

  • 列車会場(38人)


岸本尚毅選
SLの長き余生や草茂る       高橋透水

小島 健選
踏む草の返す力や夏旺ん       黒沢孝子


平成24年こもろ日盛俳句祭縁由/筑紫磐井


明治39年、高浜虚子は松根東洋城らを交えて句会「俳諧散心」を開いた。「散心」とは仏教用語であるが、気を散らすという意味で、河東碧梧桐が一足先に立ちあげた「俳三昧」に対するアイロニーであった。当初は毎月曜日に集まって句会を開いたという。この会は、間をおいて明治41年8月、第二回目の俳諧散心がホトトギス発行所で開かれた。今回は8月1日から31日まで連日猛暑の中で開催され、このため「日盛会」と名づけられた、参加者は松根東洋城、岡村癖三酔、岡本松浜、飯田蛇笏らであった。

本井英の提唱で現代の「日盛会」を目指し、数年前から「日盛俳句祭」が開催されている。特に3年前からは、虚子が戦争中に疎開して縁の深い小諸市に場所を移し開催し、200人近い参加者を得ている。105年後にあたる平成24年は7月27日(金)から29日(日)までの3日間、小諸市民会館等で開催された。

開催日 平成24年7月
27日(金)28日(土)29日(日)の3日間
俳句会(5句出句・5句選)
 (この他、28日高原列車吟行句会・28日29日高峰高原吟行会あり)
◇会 場
小諸市民会館及びコミュニティセンター
◇付帯事業
次の記念講演会、シンポジウム、懇親会とさよならパーティー
①記念講演 7月27日(金)星野 椿氏(「玉藻」主宰)
②シンポジウム 7月28日(土)
テーマ「私にとって季語とはパート2」
司会者:本井英
パネリスト:櫂未知子・片山由美子・筑紫磐井のほか気象協会から金丸課長
 シンポジウムについては、既にいろいろと発表されているが、句会の結果についてはよく知られていない。全国から集まった、同じ釜の飯を食った老若男女の雰囲気を味わってもらおうと思い、紹介する。句数が多いので、今回は、スタッフ俳人(お世話役をする中堅俳人たち)特選の作品のみを紹介する。

(参考)
  •   第5回「こもろ・日盛俳句祭」
 平成25年8月2日(金)~4日(日)。
「俳句の林間学校」、「こもろ・日盛俳句祭」が今年も長野県小諸市で開催されます。
現俳壇を担う中堅・若手俳人と共に「俳句会」を楽しんでみませんか。
小海線貸し切り「高原列車句会」、高峰高原「バスツアー句会」ほか楽しい企画満載です。
お一人でも、グループでもお楽しみ頂けます。
 
「俳句会」のあとは講演会(今年は、「運河」主宰、茨木和生氏)、シンポジウム、懇親会などなど。
 
 問い合わせ 小諸市立虚子記念館  
       
        電話 0267-26-3010






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