2026年10月9日金曜日

【短期連載】俳壇観測281 俳句ユネスコ登録へのパブコメ――今までユネスコ登録の議論に参加されてきた方々へ  筑紫磐井

 1.概要

 俳句のユネスコ無形文化遺産登録に関しては、「豈」68号(2025年11月)の「特集・ユネスコ登録戦略の最前線」で最新の情報を概括的に紹介したが、その後あまり大きな動きは見られなかった。俳壇におけるこの問題への関心は薄れつつあるようにも思える。しかし、この問題はやはり現代俳句の本質を抱えていることは事実であり、俳人それなりが明確な態度を示しておいた方がいい。

 実は、ユネスコ無形文化遺産登録は「文化芸術推進基本計画」の対象となっており、改定の都度文部科学省は計画案に対する国民の意見をパブリックコメントとして求めているのである。残念なことに、俳句のユネスコ無形文化遺産登録については一つの意見も出されてこなかった。これに対し前回圧倒的に多かったのは舞台芸術の振興援助の意見であり、これは当時丁度コロナが蔓延し、舞台芸術は壊滅状態にあったからである。

 この計画の改定が令和9年(2027年)に行われる予定であり、俳人が協会を通さないで国に直接意見を述べる絶好の機会となっている。ここに提出された意見は、整理された上で文化審議会に提出され、新しい文化芸術推進基本計画(第3期)に反映されることとなる。この計画に基づいてユネスコ登録は進められ、或いは断念され、留保されるのだ。

 雑誌で特集を組んだり、協会の総会で議論をすることもいいが、いかにも仲間うちのコップの中の中の嵐のようであり、それよりは国民の権利を行使して国に直接意見を述べることの方が筋であるように思う。これは賛成、反対を問わずの感想である。


2.パブリックコメントの出し方

 パブリックコメントの出し方は技術的な問題があり、予めグループで十分検討しておいた方がいい。気づいた点を述べておく。

➀同じ意見が出されても担当者によって整理して一括に扱われるので多様な見方や意見を提出した方がいい。

➁評論とは違う「意見」であるので、論旨を明確にした方がいい。過去の例を見ると、最終的には担当者により100字程度にまとめられるのでその程度で提出する方が効果的である。

➂パブリックコメントは内部告発と違い日本の文化芸術の振興のためのよりよい意見を求めるためのものであり、例えば将来の文化の担い手である高校生の意見も期待している。おそらく外国人や自治体の意見も受け入れられるはずである。

④パブリックコメントに当たっては、文化芸術推進基本計画案等が提示されそれに対する意見が求められるはずなので、その時期(9年8月、12月)には動向を注視しておくことが望ましい。(ユネスコのパブリックコメントの最新情報については、本BLOGで逐次提供したい)

 今までユネスコ登録の議論に参加されてきた方々へはぜひ参加して頂きたい。ちなみに一例として私は個人的には次のようなコメントを提出したいと思う。


「2017年1月26日、俳句ユネスコ無形文化遺産登録推進協議会発足に先立ち、4協会会長の共同記者会見が行われ、俳句には有季と無季、自由律があることが言明された。無季、自由律を容認しない俳句の定義に基づくユネスコ登録については、俳句文芸の創造的発展を阻害することとなることから賛成できない。」