平成二十六年夏興帖, 第二 (内村恭子、小野裕三、早瀬恵子、竹内宗一郎、網野月を、山本敏倖)
内村恭子 (「天為」同人)
ロケット発射基地揺らめく泡立草
夏草やカウントダウンもう始まる
時を超えゆく人のゐて星月夜
虫の音もなく月面の乾びたる
玉葱剥く銀河の外に銀河あり
小野裕三(「海程」「豆の木」所属)
雨立ち込めて昆虫展の奥に人
錆びたもの袋にまとめ蝉の家
出目金に足を与えて豪気なり
早瀬恵子(「豈」同人)
うちわ絵のかすめる乳房ほのと紅
藍しずめつつ水の器とならざるか
伊達者の背筋のびたり伊予簾
竹内宗一郎(「天為」同人 「街」同人・編集長)
泳がずに話してばかりゐる漢
炎昼がどんどん気持良くなりぬ
ごきぶりの師系たどればきつと彼
熱帯魚棲む東京の空近く
軍用機過ぎ風鈴が鳴り止まぬ
夏の月真中に避雷針の影
網野月を
近代は未完なりけり夏みかん
正直者が便秘に悩んでいる晩夏
ネオン光営業終えし造り滝
山本敏倖
蝸牛文字は旧かなにて候
てっぺんに緋鯉の来てる五重塔
夕立に顔を半分すられけり
姿見へ隣の世から虹の足
蟻無数句点読点半濁点
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