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桃柳 島田牙城
平成甲午の春、突然に「桃柳の使」を自らに任じたり。こは、すでに廃れたる上巳の習ひなりて、『華實年浪草』(鵜川麁文編 千七百八十三年)に「世俗 上巳に柳を桃に必ずさしまじへ雛祭にも供し」とあり。四月は京大阪辺り月遅れの雛祭なると聞くに、「必ずさしまじへ」らるることを切に願ひて詠めり。
黒髪の時を経てけり桃柳
父母すでになし桃柳活けをれば
夕づつや柳の影が桃を這ふ
さびしらに柳を恋へり桃の花
あたためるまでもなき部屋桃柳
六畳に僕と桃柳と君と
墨の香を二階からとも桃柳
桃の希求柳の訴求一つ部屋
灯のもとを真夜育ちをり桃柳
臨終は雛の柳を飾りをへ
【略歴】
- 島田牙城(しまだ・がじやう)
1957年生まれ。
月刊俳句同人誌「里」お世話係。句集に『袖珍抄』『誤植』ほか。
邑書林
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