2013年3月15日金曜日

平成二十五年 春興帖 第三

 
※画面をクリックすると大きくなります。
 



      





      堀田季何(「澤」「吟遊」「中部短歌」)
カシュガルの草摘む話死の話
彼は誰の野や生ぬるき草を摘む
草摘めば毒草も摘む瑞々し
 
 
内田麻衣子(「野の会」同人)
雛あられ畏き人のおさげ髪
調理場の隅のお帳場春火鉢
ギター聴くマリア立て膝春浅し
 
 
      小野裕三 (「海程」「豆の木」所属)
春遊へ金の足音銀の足音
恐竜の背を越すあたり春の町
積み台に地名いろいろ運ぶ春
 
 
      吉村毬子
生れし日も白梅(わら)ひてゐたりしか
不二までのさねさす春の川いくつ
口あけてほろほろと来る春の宵
 
 
      もてきまり(「らん」同人「らん」372007.4 382007.7より)
オルガンに死者の指零れ春の雷
蹼で鬱出てみればなほ朧
ほらここのふらここに乗ろメランコリ
 
 
山田耕司(「円錐」同人)
妙な声だすまで春の泥うがつ
春それは麦わらを挿す穴ではない
梅咲けり人体に腹やはらかく
 
 
外山一機(「鬣TATEGAMI」同人)
コンビニのおでんが好きで星きれい
  外山一機さんがリツイート
ヒヤシンスしあわせがどうしても要る
  外山一機さんがリツイート
げんぱつ は おとな の あそび ぜんゑい も
  外山一機さんがリツイート
 
 
      堀本 吟
梅咲いた。人わらはせる芸つらし
鳥肢の人ごちゃごちゃと葦の角
風交といわねば春の友が去る
 
 
      原雅子(「梟」同人)
庭石のまだ落ち着かず百千鳥
ひこばえのひとつ秀でて日当たれる
茶柱が立つて燕のまだ来ずよ
 
 
      松尾清隆(「松の花」同人)
ハンバーグの店黄水仙飾らるる
吸ふために飛んでゐるのが蜂であり
飛ぶために吸つてゐるのが蝶である
 
 
      小林千史(「翔臨」会員)
紅梅爪立ち白梅瞠目す
雛飾りニ段目あたり壊す子等
春潮の湿りは誰の息なのか
 
 
   松本てふこ(「童子」同人)
新世界ゲート集合春寒く
桃の日や象の春子の足の裏
肉球を見せ春眠のメガネグマ








  

0 件のコメント:

コメントを投稿