先日はたいへんお世話になり、ありがとうございました。『眠たい羊』もいただき、申し訳ないかぎりです。
で、この『眠たい羊』が、いいなと思う句がとめどなく飛び出してくる句集で…。
春寒やぎつしぎつしとゆく翼
指先で穴開けてゆく春の土
花の夜の骨煎餅をほきと折り
桃咲いて柩の中といふところ
海老の尾の膨れて揚がる花疲れ
擂粉木をつるりと洗ひ夕長し
クロワッサン緑雨籠りの椅子を引き
水光る腹を細めてくる蛭に
黒光りとはこの蟻の尻のこと
水鉄砲ぐらぐらの歯を見せにくる
ごきぶりの髭振る夜も明けにけり
鷹の眼の正面にあり我を見ず
ふるさとは狐火遊ぶ頃なるか
星へ向く狼星を見てをらず
悪相といふべき榾のよく燃ゆる
なかでも、つぎの句はとりわけ好きでした。
龍天に登るセロリに強き筋
買ふ気になつてもう一度柿の前
一二を争うのは、この二句。
嘴の痕ある椿ひらきけり
蟻の穴西瓜の種のつつかへて
充実としか言いようのない一冊。
ちょっと馬鹿ばかしい脱力系の句、五七五にすることで笑える句が魅力でした。
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