2013年7月19日金曜日

【俳句作品】 平成二十五年 夏興帖 第一 

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      池田澄子(「豈・船団・面」所属)

涼しくて嬉しくてあ~立眩み

正直に言えばあなたが好き海霧も

祭笛その腰骨の硬そうな

うかうかと愛しちまった暑気中り

鳴りやんで涼夜や耳鳴りだったのか



      福永法弘(「天為」同人、「石童庵」庵主、「豈」のむかし同人、俳人協会理事。)

夏空ゆ空中分解機の鉄片

きらきら少年ぎらぎら少年

なめくぢら花嫁人形までの道


      曾根 毅(「LOTUS」同人)

萍や言葉を隠し始めたる

暫くは死人でありし箒草

打ち水の後を俄かに動きけり


      西村麒麟(「古志」)

老公を友と思ふや水鉄砲

老公はたちまち激す水鉄砲

水鉄砲最新式でありにけり



      長嶺千晶

紫陽花にいくつ貌ある真暗がり

柏槇のねぢりあげたる梅雨の空

蛍火や影を負ひたる人の佇つ



      小沢麻結(「知音」)

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夏芝居果てゆくりなき涙かな

何か掛ければ不機嫌な昼寝の子



      水岩 瞳

ひとすじになんて無理ですポンポンダリア

草笛や吹くより吹く子の頬が好き

カーテンを替えて私も薔薇模様

くちなしを剪つて浮かべてさあトルストイ

行方知れず君は十五のままで朱夏


   
      杉山 久子(藍生)

夕立にぬれたる脚を交はしけり

黒髪にかほおほはるる昼寝かな

合歓ひらくささやくやうに逝くやうに



      内村恭子(天為)

ぺなぺなの商店街の団扇かな

夏空やポポロ広場の大道芸

UFOがぷぷぷと墜ちる夏の山



      山崎祐子(「絵空」同人、「りいの」同人)

軒下に目高を育て杖を売る

大口真神保食神青葉闇

短夜の地球の裏側のシュート








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