余命だとおととい来やがれ新走
演芸評論家の「江國 滋」の俳何を思った
死神にあかんべえして四月馬鹿
おい癌め酌みかはさうぜ秋の酒
中七の「おととい来やがれ」のフレーズが
精一杯の強がりを見せているが、
やはり最愛の人の余命を知ることは切ない
下五の季語「新走」が痛いほど歓効いている
この空の蒼さはどうだ原爆忌
この句の肝は中七の「蒼さはどうだ」の表記である
字余りとなったが全く気にならない
原爆に対する鎮魂より、見事に復興を果たし
空に蒼さを取り戻した人達への賛歌とも思える
句の仕上がりに好感が持てる
着膨れてオスの役目の終わりけり
オスの役目とはなんだろう?簡単に言えば
それは種を残すことである、本能のままに
上五の「着膨れて」は、理性やしがらみを
表しているように読める
この句には男のエレジーを感じる
部屋中に僕の指紋のある寒さ
この手の句は好き嫌いが別れる句だろう
読み手が詠者の感性を受け取り、感じればいい
句なので、あえて選評はしない
初めての再婚ですと近松忌
俳味があって面白い。縁あって再婚するような
ことがあれば、先に女房が逝くことなく、
曽根崎心中の「今度こそは一緒に・・」の
下りを想像した
地球に原子炉手に線香花火
大小の対比によって構成された句
事故が発生すればメルトダウンの原子炉
線香花火の最期の火の玉
どちらも危うさを感じさせる反核の句ができた
缶蹴りの鬼のままにて卒業す
作者にしては素直な句。時として鬼でいる方が
楽でいい時がある
幼い頃にはなかなか気づかないのだ
鬼でいいずっとこのまま木下闇 蝸歩
そうか君も所詮歯車蟻の列
抗って、抗った人でないと作れない句
リズム感もありだいすきです
キウイに種あり人の妻といる
火遊びの最初は小さな種でまだいいが
本気になれば、枇杷ほどの大きな種に・・・
取り返しのつかないことになってしまう
キウイの種とは上手く言ったものだ
たましいの溢れて水のないプール
作者の心の叫びが聞こえる
たましいは溢れているのに、プールには水がない
こういう作句の構成が詠者の真骨頂であろうか
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