中村猛虎 句集「紅の挽歌』を読ませていただきました
素晴らしい第一句集の御上梓を心よりお喜び申しあげます。
何と驚きましたことに、最愛のご今室さまがあまりにもお早くお浄土へ参られましたとのこと、胸に迫ってなりません。
この重厚なる一集は相思相愛の証として永遠に生き続けることでしょう
モノローグの見事なる構成に感じ入るばかりです
さくらさくら造影剤の全身に
余命だとおととい来やがれ新走
秋の虹なんと真白き診断書
葬りし人の布団を今日も敷く
早逝の残像として熱帯魚
これほどの手厚い看取りはないものと存じます
順々に草起きて蛇運びゆく
たましいに話しかけてる日向ぼこ
蕗味噌やだんだん土に帰る君
黒葡萄その一粒の地雷原
初めての再婚ですと近松忌
冬すみれ死にたくなったらロイヤルホスト
子の一歩父の一歩に春の泥
シニガハチ好きな九九です春の暮
母の日の大丈夫大丈夫大丈夫
夏雲に押され床屋の客となる
茹ですぎのブロコッリーの別れかな
春の水君の形に拡がりぬ
たんぽぽがよけてくれたので寝転ぶ
へろへろの朝日新聞台風来
僕たちは三月十一日の水である
少しずつ君が芙蓉になっていく
雪掻きて墓を掘り出す三回忌
ボケットに妻の骨あり春の虹
「花月のコスモロジー」を心に抱いている実作者としましては、表面的には真逆の俳句に思われますが通底しているものに変わりはないでしょう
その表現のまこと新鮮なることに大いなる刺激を賜りました。
一見奇想天外に見えるものが一呼吸置きますれば、これこそがまともなのではないかと思われもしました。
初空や人を始めて五十年
ビックバン宇宙が紫陽花だった頃
この世とあの世は繁がっています。
人は死なないのです、見えなくなっただけです。
世界のすべては、季節内存在から自由にはなれないつまり今という永遠に何回も立ち会うことができるのだということを「紅の挽歌」の余白のどこからも気付かされます
この度は本当に有羅うございました。
またおめでとうございます。
ご自愛くださいまして、いよいよのご発展をお祈り申しあげます。
2020年12月25日金曜日
【中村猛虎第一句集『紅の挽歌』を読みたい】6 中村猛虎句集選評 草深昌子(青草主宰)
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