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疲労の歌3 竹岡一郎
黄泉涸らさんと幼き巨人発熱す徽宗終日鳩を描けり
豺狼の眼持つ父狩の前水蜜桃を啜るが習
漆黒の人泳ぎ来て「こもりくの眼が星の種、探せ且つ磨け」
ふるさとといへば疫痢の匂せりわがまなぶたを支えよ、蜜蜂
スフィンクス幼獣未だ問ひ持たず人の子の舌響くを知るまで
町の穢を吸ひつむじ風昇るらし一対の鯉幟の口へ
玉虫の屍・帯留、舟を追ふ瀧に投げ来し桐箪笥より
獄卒がくれなゐの蟲嚙み砕く未生の国と期されしものを
眼なき王の墓碑銘爛爛と「無量の光・無量の飢餓」
銀の弾嬰児の指の重さ得つ隠されし釦押せば星割れ
フラスコに閃き出づる人型の嘆き訳せば「日溜り呑み干せ」
廃坑に飼ふ八百の人魚群まだらの蘭の汁もて活かす
【作者紹介】
- 竹岡一郎(たけおか・いちろう)
昭和38年8月生れ。平成4年、俳句結社「鷹」入会。平成5年、鷹エッセイ賞。平成7年、鷹新人賞。同年、鷹同人。平成19年、鷹俳句賞。
平成21年、鷹月光集同人。著書 句集「蜂の巣マシンガン」(平成23年9月、ふらんす堂)。
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