2014年5月16日金曜日

【西村麒麟『鶉』を読む23】  『鶉』二十句について / 西村麒麟

田中裕明賞をいただける事になり、磐井さんから、どんどん色々やりましょう、『鶉』特集は褌のように続きます。とメールをいただきました。ありがたい事です。ただ僕の句集は私家版で200部しか無く、しかも全部配ってしまったので、もし読みたいと言っていただいても、なんというか、ありません。無いものは無いのです。

なので、チラ見せをしてみましょう、と磐井さんに相談したところ、よし、まづはチラ見せで行きましょう、という運びになったので、20句選を掲載していただく事になりました。

そういえば、素朴な疑問が…。

大勢の方に鶉論を書いていただいてますので、なんというか、今さら僕の20句選なんか見たいかなと。

困った時の愛妻A子です。『鶉』の発行人のA子が選んだ20句なら面白いのではなかろうかと。
なかなか良い選です。そうかそうか、A子よ、あなたはその句が好きか。良いぞ、良いぞ。
持つべきものは良き妻です。

えーっと、ではA子選『鶉』の20句、読んで頂ければ幸いです。

磐井さん、この企画、大丈夫ですかね?また薄暗いところで相談しましょう。

   『鶉』 二十句   A子選  
へうたんの中より手紙届きけり 
秋蟬や死ぬかも知れぬ二日酔ひ 
桔梗のつぼみは星を吐きさうな 
蟹動くどの白露もこぼさずに 
鈴虫の籠に入つて遊ぶもの 
さて秋の燕のやうに帰らうか 
天高しこれが社長のキャデラック 
秋風や大きな鯉のゐる暮らし 
柿剥いてくれし三味線最初から 
飛び跳ねて鹿の国へと帰りけり 
細長き日本の楽器初しぐれ 
凩やうどんがぽんと明るくて 
永遠の田園をゆく冬の蝶 
ぜんざいやふくら雀がすぐそこに 
どの島ものんびり浮かぶ二日かな 
夕べからぽろぽろ泣くよ鶯笛 
昼酒が心から好きいぬふぐり 
おしるこや松島は今雪の果 
この国の風船をみな解き放て 
いつまでも死なぬ金魚と思ひしが




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