田中裕明賞をいただける事になり、磐井さんから、どんどん色々やりましょう、『鶉』特集は褌のように続きます。とメールをいただきました。ありがたい事です。ただ僕の句集は私家版で200部しか無く、しかも全部配ってしまったので、もし読みたいと言っていただいても、なんというか、ありません。無いものは無いのです。
なので、チラ見せをしてみましょう、と磐井さんに相談したところ、よし、まづはチラ見せで行きましょう、という運びになったので、20句選を掲載していただく事になりました。
そういえば、素朴な疑問が…。
大勢の方に鶉論を書いていただいてますので、なんというか、今さら僕の20句選なんか見たいかなと。
困った時の愛妻A子です。『鶉』の発行人のA子が選んだ20句なら面白いのではなかろうかと。
なかなか良い選です。そうかそうか、A子よ、あなたはその句が好きか。良いぞ、良いぞ。
持つべきものは良き妻です。
えーっと、ではA子選『鶉』の20句、読んで頂ければ幸いです。
磐井さん、この企画、大丈夫ですかね?また薄暗いところで相談しましょう。
『鶉』 二十句 A子選
へうたんの中より手紙届きけり
秋蟬や死ぬかも知れぬ二日酔ひ
桔梗のつぼみは星を吐きさうな
蟹動くどの白露もこぼさずに
鈴虫の籠に入つて遊ぶもの
さて秋の燕のやうに帰らうか
天高しこれが社長のキャデラック
秋風や大きな鯉のゐる暮らし
柿剥いてくれし三味線最初から
飛び跳ねて鹿の国へと帰りけり
細長き日本の楽器初しぐれ
凩やうどんがぽんと明るくて
永遠の田園をゆく冬の蝶
ぜんざいやふくら雀がすぐそこに
どの島ものんびり浮かぶ二日かな
夕べからぽろぽろ泣くよ鶯笛
昼酒が心から好きいぬふぐり
おしるこや松島は今雪の果
この国の風船をみな解き放て
いつまでも死なぬ金魚と思ひしが
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