ソ連抑留者の体験談を伺い、それまで、ソ連抑留に目を向けていた私は、満州引揚げをソ連抑留と同等に取り扱い、書かなければならないと深く思い、新谷亜紀さんのブログで連絡を取り、私の取り組もうとしていることを伝えました。そして、亜紀さんから満州俳壇の形成や歴史を研究している、西田もとつぐ氏のご著書や、京大俳句を読む会の冊子をお送りいただき、井筒紀久枝さんの『大陸の花嫁』を書くにあたりましては、細やかなご助言を受けることができました。
この度は、亜紀様の承諾を得て以下の感想を紹介させていただきます。
《阿部誠文氏や西田もとつぐ氏にはなかった切り口で、いかに満州崩壊・満州引揚げ・ソ連抑留に至ったのか歴史をよく調べ、自分の言葉で伝えようとしているところ、私たちの世代が学校で学んでいない歴史を日清戦争から、紹介していることが良い。体験者やご遺族の一人一人に連絡し、コンセンサスを得ようとしたことが、筆の力となったと思われる。特に第3章からの俳句作品の紹介とまとめについては、圧巻である。満州引揚げやソ連抑留の俳句作品をリンクし、まとめ上げているところは、後世に語り継ぐ理想の形を見せていただいた気持ちで感動している。この本は後世に残すべき一書である。》
私はソ連抑留・満州引揚げ俳句を取りあげ、極限状況における俳句の担った働きや句座の役割や句座がどのように機能したかについて、「全章のまとめ」の中で考察しています。
また、第2章以降をまとめながら、自問自答したことがあります。
抑留体験者の山田治男さんや中島裕さんは、「憲法第9条が日本や国民を守ってくれるのか」と私たちに問いかけています。この問いかけに私は、拙著で現代との結び目を作りましたので、多くの証言のすさまじさに心を奪われることなく、お読みになり、今ここからの未来について、一緒に考えていただくことができたならこの上ない幸せであると感じます。
抑留兵の子である私から、平和の種が鳳仙花の種のように飛び散り、広まってくれることを祈ります。
抑留兵の子である私鳳仙花 博美
(おわり)