2014年7月4日金曜日

【竹岡一郎作品 No.18】 



尺蠖立ちて蟒蛇うはばみと化すは、夏    竹岡一郎




尺蠖が地のくえまでを測りけり

うるはしき山がほどけて蟒蛇に

蟒蛇の尾の削る崖化石だらけ

蟒蛇の舌に東京熔けても綺麗

蟒蛇が地平線より分かれ来し

蟒蛇が伸び切る河や波死につつ

少年少女蟒蛇出ても塾へ行け

少年少女みな呑まれたく蟒蛇待つ

をぢさんを呑んだ蟒蛇透きとほる

蟒蛇は鱗たぎらせ唄ふなり

蟒蛇の自ら裂けて祀らるる

血の海や巻き揚げらるる錨へ鳩





【作者紹介】

  • 竹岡一郎(たけおか・いちろう)

昭和38年8月生れ。平成4年、俳句結社「鷹」入会。平成5年、鷹エッセイ賞。平成7年、鷹新人賞。同年、鷹同人。平成19年、鷹俳句賞。
平成21年、鷹月光集同人。著書 句集「蜂の巣マシンガン」(平成23年9月、ふらんす堂)。

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