豊里さんとはfacebookでもこの俳句新空間でも繋がっているが、この度『地球のリレー』と『Peaceful love rock festival』という写真集の双方を頂いた。
沖縄在住の作者は地域に根ざした俳句や写真を発表し続けている。
この句集は第六句集とのことで、若い作者なのに創作意欲旺盛であることに驚く。多くの人と出会って発信してきた作者には平和への強い願いがあるのだと思う。
黒板は空爆の空も消せますか
眉を引くように始まる揚げ花火
同じ空を見上げるときに単に綺麗だと思うだけでなく、戦争のこと、今災害に遭っている人や国のことを思う。
この二つの句を読んで、作者の今の心に混在する想いを見たように思えた。
それでも花火を美しいと思って、多くの人と共有する時間があってもいい。しゅっと揚がる瞬間を「眉を引く」と表現するセンスは抜群である。
感動を写真で切り取って多くの人に見てもらうことも大切だが、その「時間」は一枚に封印される。俳句は同じ場面でも組み合わせる言葉によって奥行が出て、時を超えて生き続ける。
万物が弾む地球のリレー
作者が一度撮って留めた大切な瞬間と俳句によって読者の内部で永遠に生き続ける時間の両方が命を育む「地球のリレー」となって連綿と続いていくのである。