見知らぬ人
初夢に会うて見知らぬ人であり
弁財天さまへ湛えて冬の水
冬麗の浜潮錆の物ばかり
昼網の糶の始まる冬の鳶
口開けて鯖の糶らるる寒の晴
・・・
夢をよく見る。
夢には知らない人が出てくることが多い。気味悪いと思ったのは白い人の夢だった。男性だということは判った。が、白いというところがよく解らない。白人だったのか、色白だったのか、白い物を着ていたのか……。とにかく「白い人」だと思ったのである。そして彼は言った。「三角にしなさい」と。「何を?」と問いかけたような気もするが、そのあたりで夢は醒めたのだろうか。意味など全く分からない。
実在の人の夢もたまには見る。幼馴染だったり、かつての同級生だったり、先生だったり、ただいつも途中で相手が変わっている。これが不思議。だから次々に色々な人が登場してくる。
今、はっきり憶えている夢がある。句会のメンバーである男性が出てきたのである。何故か我が家へ招いていて、私がせっせと料理を作っている。いざ食べるという場面になって、彼の機嫌が悪くなった。「美味しくない?」「いや美味しいですよ」とむすっとした顔で箸を動かしている。そこへ突然何人かが現れてゴタゴタしてきたあたりで夢は終わった。
目覚めてから気が付いた。「ああ、お酒がなかったのだ」と。
何しろ我が家は下戸揃いなので酒類といえば料理用の物しかない。現実には「何か作るけど、飲み物だけは持って来て~」ということになっている。
怖い夢なら数えきれない。どこかから落ちる夢も数えきれない。一番怖かったのは大きな真黒な竈の回りを鬼に追いかけられている夢だっただろうか。落ちる夢なら滝から落ちたことか。でも滝壺まで落ちたのでもなさそうだし、死ぬこともなかったのだ。
死んだのかどうか分からない夢はまだある。数年前、入院が長引いていた時、窓から見下ろす辺りに白骨が散らばっていて「あれはあなたの骨だから…」との声が聞こえたのである。本当に私の骨? どの部分の骨だったのだろう? 頭蓋骨は見当たらなかったような気がする。
窓から自分の骨を見下ろすなどとはあり得ないことではあるけれど……。この高さなら落ちたら死ぬかな~と、ちょっと考えたことと関係があったのかしら。
骨片は我のものかも夏の月 としこ
次の朝こんな句ができた。
(2023・2)