水撒けば人の形の終戦日
さきの大戦で炎に焼かれ水を求めて亡くなった方が、まだ水を求めてさまよっているのでしょうか、合掌。
お酒の瓶に俳句を刻む、手刻み俳句ボトルはこの句から始まりました。
斬られ役ずっと見ている秋の空
斬られ役は、主役の立ち回りの邪魔にならないよう上手く倒れなければなりませんが、背中から斬られてしまうとうつ伏せに倒れるよりありません。
花の名は知らねど真白終戦日
十八番の終戦日シリーズですが、「ねど」の発見で素晴らしく文学的です。この路線を続けていれば、今頃俳句界を席巻していたのにとても残念です。
唇を這わせて進む大枯野
少し白髪の交る陰丘にそろりそろりと唇を這わせる描写など、日活作品から着想を得た想像句にしてはよく描写できていると思います
生物学上の父よ梟よ
何かのきっかけで戸籍謄本でも見てしまったのでしょうか、逞しく育って欲しいもの。会う機会があれば過去のお年玉を請求するのも手です
犬ふぐり母は呪文で傷治す
ポンキッキで『ママの右手は魔法の手』という歌がありました。料理洗濯スイスイと魔法のようにこなすママ、なぎらけんいちが歌ってました
三合を過ぎて秋思の丸くなる
コップ酒三杯立て続けでは更に角が立ちますが、ちびりちびりとやることで、まん丸なほんとのところに辿りつくという事かもしれません
極月や人焼く時の匂いして
街中でふいに嗅ぐ覚えのある匂い、嗚呼あの時もこんな匂いだったと感傷的になりますが、そこは人気のベルギーワッフルのお店です
葬りし人の布団を今日も敷く
押し入れにしまう際自分のを上にすればいいのにと思ってしまいますが、独り寝がまだ慣れないのだなと鑑賞するのが人というものです
ポケットに妻の骨あり春の虹
持っているとすればどの部分か、小指の先であればロマンティックですが、まさか大腿骨ではないでしょうね
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