■高点句と評■
●2点句
世界中死の予感して四月来る(北川美美)
【評】時事俳句は2(都市部より人病んでゐる花のころ)と5(掲句)である。通常メッセージ性が露骨でない方がいいと思われるが、現状が流動的で結果が見えていない中ではやや異なる。ここに描かれているよりもっと悲惨な状態が招来されるかもしれない。 ──筑紫磐井
●1点句
長靴を愛でる雨ん子皐月晴れ(千寿関屋)
【評】「雨ん子」がいいです。長靴を履きたくて雨降りの支度をしている子の様子が伝わってきます。ちょうど私も新調したLL.Beanの雨用ブーツが届きました。「愛でる」というのは「触る」意味も含まれていると読めましたが、長靴のゴム素材にウィルスは何時間耐久するのか、など派生して想像していました。ともあれ、「皐月晴れ」のような清々しい会の幕開けとなることを祈念する「皐月句会」への挨拶句と思い選びました。 ──北川美美
遠い日の子規の日記の桜餅(筑紫磐井)
【評】子規さんの食欲、なかなかだったようで、親近感が伝わってきます。 ──千寿関屋
紅椿明治の俳句始まるか(筑紫磐井)
【評】まず「明治の俳句」に俳句のみならず日本の近代化を思い政治的な読みを考えました。ちょうど今、碧梧桐「赤い椿白い椿と落ちにけり」を「赤と白とが同時に落ちるということに明治という時代の意味が込められている」と読んだ私の一文に対して、某氏より非難を受けていている最中で、そのことも起因して、なぜ「白椿」ではなく「紅椿」に「明治の俳句」の始まりを思ったのかの歴史的根拠を含め知りたく思い選びました。 ──北川美美
東雲や明くる弥生の新頁(千寿関屋)
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